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ボーイの季節 / 松田聖子

すみません!アップロード、一日遅れましたm(_ _)m

ボーイの季節ジャケ.jpg

「ボーイの季節」は松田聖子さんの21枚目のシングルとして1985年5月に発売され、
オリコンシングルチャートで最高1位(同年5月20日付)、35.6万枚の売り上げでした。
ほぼ同時期に菊池桃子さんも「BOYのテーマ」を発売し、少年をめぐって1位争い
…と言った変わったチャートアクションが展開されていました(^^;)

また「ボーイの季節」は、松田聖子さんの独身時代最後のシングルであり、
その発売後1年ほど休業状態となり、翌年6月にアルバム「Supreme」で復帰となるんですね。
個人的には、「8時だヨ!全員集合」(TBS)にゲスト出演してこの曲を歌った時、
歌い終わりに「どうもありがとう」と、声は入りませんでしたが口を動かしていたのが
強く印象に残っています。


作詞・作曲は、前作「天使のウィンク」に引き続き尾崎亜美さん。
編曲はそれまで同様、大村雅朗さんですね。

レコーディングエンジニアが「天使のウィンク」共々、内沼映二さんだそうで、
それはデビュー曲「裸足の季節」のレコーディング以来、5年ぶりの起用だったんですね。
正直なところ、私には「内沼サウンドだ、やっぱり違うなぁ」
なんて言えるほどにはわからないのですが(^^;)、
何となくボーカルの存在感のようなものをより感じる、そんな気はします。


アップテンポな「天使のウィンク」と違い、派手さの全くないスローなバラードです。
歌詞にもありますが、私には風、それも街中ではなく荒野のような場所での風を感じる楽曲です。
松本隆さんの歌詞に出てくる風とは強さも温度も違う…。

リズムはシンプルな8ビート、全体の構成は2ハーフです。
変わっているのが、他の楽曲だと2コーラス目に向けて派手になりがちな間奏が、
この曲では全体を通じて最も静かな部分となっている事、かな。

また各コーラス(この場合は1番、2番の事です)が素直に「Iの和音で、ドまたはラ」
で終わらず「Vの和音で、ソ」で終わっていて、まだ次の展開を予感させるような感じです。

キーはE(ホ長調)。 松田聖子さんのシングルA面曲では、このキーは「ボーイの季節」だけです。

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では、曲の流れと特徴などを書き出してみますね。

イントロはキーボードとギターで F#m7/B の和音打ち、続いてキーボードがそれに9thを付けて
下ってくるフレーズで始まり、その動きはこのブログでも以前紹介した「愛されたいの」
(「野ばらのエチュード」)B面)のイントロと同じであり、大村雅朗さんの好きな音の組み合わせ・
流れ、なのでしょう。

♪革のカバンひとつだけなの…唯一の地図よ♪ と来て次の ♪空が…♪
までの間にタメ(ごく短い時間的空間)が感じられ、それは2コーラス目の同じ部分も同様です。
この時代ではテンポは指揮ではなくリズムボックス(ドンカマ)で機械的に保っているはずなので、
「萩田光雄さんって曲中でドンカマいじってテンポ変えてるみたいだぜ…ここでもやってみるか」
(大村さんの声です)なんて感じでごく微妙に操作してたり、かもですね(完全に推測です)。

ここのコード進行は大雑把には E→A/E→E→C#m →A→B7→G#m→C#m→ AMaj7→B7で、
実際にはEからC#mに移る時にはD#、C#mからAに移る時にはBを経由していて、
その動きが歌メロにシンクロしているのが特徴です。
そのベースの動きが歌メロとは3度のハーモニーの関係(実際には1オクターブ離れていますが)で
ある事にも要注目!ですね。

♪(空が)…約束のSunset♪ の歌メロは、上の♪唯一の地図よ♪ の部分と同じメロディーを
1オクターブ上に持って来ただけのものですが、次の展開に向けての重要な架け橋になっていますね。

♪夢よいかないで♪ でのコード進行は E→Eaug。
augとはオーギュメントの略で、+5と表記される事もあります。
それは何かと言うと、ドミソの和音でソ、つまりドから数えて5つ目の音であるソを#しなさい、
と言う意味です(ドを含めて5つ目、ですね)。
次のコードが ドファラ なので、ソ→ソ#→ラ と半音ずつのスムーズな流れを作っているワケです。

♪強い風が吹く丘で♪ でのコード進行は F#m→B7→G#m7-5→C#7。
またややこしいコードを…この中の G#m7-5 は m が付いているマイナーコードですから、
-5とはラドミのミを♭しなさい、と言う意味です(7はマイナーコードの場合ソの事ですね)。
ハーフ・ディミニッシュとも呼ばれるこのコードは、次の C#7 とのつながりを美しくするだけの役割
と思っていいでしょう(何が「ハーフ」なのか、今も私にはよくわかりませんが)。
なので G#m7-5 の替わりに EやC#m と普通のコードを入れてもコード進行としては成り立ちますし、
場合によってはその方がきれいに聞こえるかも知れません…あとは作家(またはアレンジャー)が、
トータルでどんな雰囲気にしたいかによって決める事なのでしょう。

因みに同じようなコード進行は「水色の恋」(天地真理)の ♪…お別れの言葉だから~♪
の部分にも使われています。

♪少年の頃に見た♪ でのコード進行は、哀愁感表出についての伝家の宝刀 A→Am(Ⅳ→Ⅳm)、
テンションまで細かく表記すると AMaj7→Am6 で、これも聴いた感じの美しさ重視の進行でしょう。

その次の ♪夏に逢える♪ ではコードは E→F#m7/B となりますが、従来の歌謡曲ではここは、
その前の A からの流れで E/B→F#m7/B と、ベースを先にBに固定してから次のコード、と
していたはずです。
例えば筒美京平さんのアレンジの楽曲では、そのようになっているものが多いんです。
「雨の日のブルース」(渚ゆう子)の歌い終わりのあたりなど、その良い例です。
なので、それに聴き慣れていた耳にはただの E が来たのが新鮮に聞こえた事と思います。

以上は色々ある中の一部ですが、コード進行をちょっと見ただけでも色々な配慮が
感じられる、繊細な作りです。


全体のサウンドはキーボードとギターが中心の、シンプルなようでかなり複雑なアレンジで、
それに尾崎亜美さんによるコーラスが彩りをより豊かにしている印象です。
ストリングスも多く使われていますが、必要な部分を狙って思い切り張り出させるようなアレンジで、
決してそれが主役的存在とはなっていないのが、従来の歌謡曲と違うところではないでしょうか。

さらにいくつかのシンセサイザーの音色が混ざり合って絵画的なサウンドを構築していて、
サウンドコラージュのようなイメージも感じられます。

ボーカルをよく聴くと薄くフィードバック(エコー)がかかっているようで、
その処理は松田聖子さんの楽曲では珍しい事です
(「Eighteen」のようにハッキリそれとわかる曲もありますが)。

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松田聖子さんはよく「作家と作品に恵まれて…」と言われます。
オリコンで必ず1位を獲得していた頃の一連の作品を見ると確かにその通りと思いますし、
今ではそれらの多くがスタンダード化している事は実に素晴らしいと思います。

が…

1981年夏の「白いパラソル」以降、それまでさほどメジャーではなかった元はっぴいえんどと
ナイアガラのメンバーが、松田聖子の人気を利用して自分達の音楽を大衆に広めていた…
とも解釈できるわけで、それが顕著になってきたのが1983年夏の「天国のキッス」からに思えます。

特に1984年の「時間の国のアリス」「ピンクのモーツァルト」など、これと言ったインパクトもない
ような作品が、楽曲の良さ云々よりあくまでも松田聖子さんの人気の勢いによってオリコン1位に
なっていた気がしますし、それに大衆が薄々気づきやや食傷気味になってきたのを制作陣が察知して、
尾崎亜美や小坂明子と言った才能ある女性ミュージシャンに方向転換して作品を依頼したのでは…
というのが、私の「穿った」見解です。

「天使のウィンク」「ボーイの季節」が松田聖子さんのキャラクターや歌唱をフルに生かしているか、
と考えると疑問も残りますが、マンネリは明らかに脱している気がします。


YouTubeに興味深い、音声のみの動画(ん?)が上がっていて、
それは「ボーイの季節」の頃の松田聖子さんのDJ音声なのですが、
「私の歌声はデビューの頃が一番大人っぽくて、新曲が出るたびにだんだん幼くなっていってる」
と言った内容なのですが、恐らくその頃にも、歌声についてあれこれと言われていたのでしょう。

「ボーイの季節」での聖子さんの声は、完成されている気がします。
どのフレーズを聴いても、神経が行き届いているんですよね。
無意識で歌っているのではない、完璧に自分をコントロールしている歌唱に感じられます。


去る6月24日は、美空ひばりさんが天に召されて32年目の日でした。

そこでふと気づいたのですが、美空ひばりさんの現役時代(病気等で休業している期間を含めて)は
トータルで42年間(昭和22年~平成元年)。

松田聖子さんは昭和55年デビューですから、今年で歌手生活が41年。
キャリアではもうすぐ、美空ひばりさんに追いつくわけです。

それって、結構凄くないですか?


「ボーイの季節」
作詞 : 尾崎亜美
作曲 : 尾崎亜美
編曲 : 大村雅朗
レーベル : CBSソニー
レコード番号 : 07SH1640
初発売 : 1985年(昭和60年)5月9日

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もとまろ

ぽぽんたさん、こんばんは。

やっとゆっくりできたのでコメントさせていただきますが、今調べていたらびっくりしたことがありました。それは後ほど…。

ひばりさんの命日について触れていらっしゃいますが、その4年前の昭和60年6月24日に、聖子ちゃんと正輝さんが「聖輝の結婚」をしましたね。テレビが聖子ちゃん一色の中、祖母がNHK教育テレビの某番組に出演した日で、実家ではちょっとした記念日です。
聖子ちゃんは、ひばりさんの年数よりも年齢、享年52歳を超えて来年還暦、大病もなく元気で明るく歌っているのがすごいと思います。

最近、デビューから正輝さんと結婚するまでの聖子ちゃんの歌をよく聴いていて、その中で、「ボーイの季節」は渋いなぁと思いながら聴いています。若さの中に、大人になった自分を感じる様子が浮かびます。
私は当時小学2年生だったので、テレビで歌われなかったから故になじみのない歌ではありますが、今の自分として、テレビでたくさん見てきたキラキラした歌を聴いた後で聴くと、聖子ちゃんの豊かな感情表現、引き出しの多さ、そういうのを感じます。
聖子ちゃんの歌にはどこか明るさがあって、亜美さんご本人の歌唱にはただただ切ないものがあります。

「作家と作品に恵まれて…」以降ぽぽんたさんが書かれることですが、聖子ちゃんファンのある方がこんなことを書いておられました。
「天使のウィンク」は、昭和59年年末に尾崎亜美さんが大掃除の最中に「明日までに作詞作曲どちらも仕上げて欲しい」とのオファーを受け、その通りに仕上げて1ヶ月後に発売された歌だそうです。
で、聖子ちゃんのタイアップ付き新曲に、こんな無謀なオファーはスタッフの意向ではないだろうと。何らかの事情(筆者さんの見立ては、ひろみさんと別れて、映画で共演した正輝さんと付き合っていることがスタッフに伝わり、今後の立ち回り方を考え始める…ということ)があって、聖子ちゃんの意向で心機一転のために亜美さんに依頼したのではないか…とのことでした。
考察が面白いなぁと、それと亜美さんが短時間ですごい名曲を書かれたなぁと、1ヶ月で曲が仕上がることがすごいと思いました。

その次に、独身最後のシングルとして発売された「ボーイの季節」、これも亜美さん作詞作曲です。
で、びっくりしたことは、実はこの歌でなく、「幸せなんて欲しくないわ」が次のシングル曲に予定されていて、一部で告知もされていた…ということでした。
松本隆先生作詞でもろ拓郎節のメロディー。小学校卒業の時期にのりピーが歌っていて、かなり好きな歌でした。まさか聖子ちゃんのために作られていたとは、びっくりしました。
結婚前の女性が歌う歌ではなく、そもそも聖子ちゃんに向いていません。
それだけ、正輝さんとの共演→ひろみさんとの別れ→正輝さんとの結婚、これが早くてスタッフさんも戦略を組むのが大変でバタバタだったんだろうなと。それと、この流れにうまく沿った名曲を続けて残した亜美さんがすごいと思いました。
by もとまろ (2021-07-06 20:15) 

ぽぽんた

もとまろさん、こんばんは! またお返事が遅くなり申し訳ありません。

う~ん、美空ひばりさんの命日と聖子さんの最初の結婚の日が同じだったとは気づきません
でした。 偶然にしては出来すぎな感じですね(^^;)

私は来月還暦を迎えるのですが、ひばりさんが享年52歳だったのは、今の自分からしても
信じられない思いです。 晩年の映像を見ても、今の自分よりずっと年上に感じてしまい
ます。
そう言えば聖子さんは事故と言えば1983年の沖縄での事件くらいで、大病をしたなど、
そういった話はこれまで全くなくて(実は知られていないだけかも知れませんが)、
歌手生活も40年以上と、色々な意味でもの凄い歌手ですね。

「天使のウィンク」の、作品のオファーから1ヶ月で発売との過程は、制作過程の実際を
考えるとちょっと話を盛っている気がしてなりませんが(^^;)、それほどの勢いがあった
と言う事だと思います。

私の記憶に間違いが無ければ、結婚のために休業した時に1年後には復帰するなどと
言う予定はなかったと思うのですが、「ボーイの季節」が、タイトルこそデビュー曲を
意識したようなものであるにしても、曲の内容が「これで一区切り」と言った感じが
しないのはなぜだろう、と今も思います。
全くの推測ですが、「天使のウィンク」と同じ時期にこの「ボーイの季節」も出来て
いたのではないか、「ボーイの季節」は聖子さんの結婚があまりに急に決まったので
それを臨時に発売したのでは?とも思ってしまいます。 …なんて、今更深読みして
どうするんだ、って感じですが(^^;)

「幸せなんて欲しくないわ」なる曲、私は全く知りませんでした。
誰々のために作られた曲が誰々に渡った、などと言う話はよく記事などで見ますが、
本当に現場ってそんなに安直な事ばかりしてるのかな、と思ったりもします。
そのお話も、聖子さんが常に注目される存在だった一つの証かも知れませんね。

by ぽぽんた (2021-07-10 23:44) 

widol

ぽぽんたさん、こんにちは。

コメントが少し遅れました。
実は松田聖子さんがトップアイドルとして活躍していたは、大学時代のまさに青春ど真ん中であり、自分にとってはアイドルを超えた一人のアーティストでした。当時は「聖子派」「明菜派」と言われていましたが、完全に「聖子派」でした。ただ、他のファンと違っていたのは、松田聖子というアイドルのビジュアルには全く興味がなかったことです。
過去、天地真理さん、太田裕美さんと好きになった人たちは、その音楽性はもちろんでしたが、ビジュアル面でもとても好きでした。それに対して、聖子さんは本当に興味はなく、雑誌の切り抜きみたいなことも全くやったことはありませんでした。その意味で、自分にとっては、完全に歌手「松田聖子」のファンだったわけです。

シングルを初めて買ったのはデビュー曲「裸足の季節」2枚目の大ヒット曲「青い珊瑚礁」はなぜか買わず、そのあとの「風は秋色」からはずっと購入していました。アルバムは5枚目のオリジナルの『Pineapple』が最初で、その直後に発売された2枚目のベストアルバム『Seiko Index』と続き、オリジナルアルバムはシングルで1位が途切れる「Precious Heart」が収録された『Precious Moment』まで買っていました。音にはこだわり、『Seiko Index』からマスターサウンドが出たLPはマスターサウンド盤を買っていました。
ということもあり、松田聖子=アルバムアーティストというイメージが私には強く、アルバム曲に好きな曲がたくさんあります。
ちなみに、『Seiko Index』のマスターサウンドLPに収録された「風は秋色」はなんと、冒頭のドラムが最後の一拍しかないもので、当時、秋葉原にあってよく買っていた石丸電気レコード館に不良品だとクレームしたのですが、レコード会社からは仕様だと回答があったと言われてがっかりした思い出があります。通常盤はシングルと同じだったので明らかなマスターのミスだと思うのですが、今となっては謎です。

アルバムには非常に多くの作家の方が作品を提供しており、シングルでよく提供していた、松任谷由実、財津和夫、細野晴臣など以外では、来生たかお、原田真二、南佳孝、杉真理、甲斐祥弘、上田知華、林哲司、矢野顕子、佐野元春、大貫妙子、大沢誉志幸、玉置浩二、久保田洋司、亀井登志夫、土橋安騎夫、小室哲哉、大江千里など本当に豪華でした。
シングルやシングルにならなかった曲の寄せ集めではなく、しっかりとアルバム1枚、コンセプトに基づいて作られていたので、今聴いても飽きることがありません。

さて、「ボーイの季節」ですが、映画「ペンギンズ・メモリー〜幸福物語」の主題歌ですね。当時、映画もしっかり見にいきました。今では、DVD化もされず放置されていますが、「ボーイの季節」や同じキャラクターのCMでも使われた「SWEET MEMORIES」、名曲「Musical Life」や渡辺貞夫が作曲した「Blue Love Letter」などを聴くだけでも楽しい映画でした。
「ボーイの季節」はあくまでこの映画の主題歌として作られ、次のシングル候補の一つとして最終的に選ばれたのではないかと思います。その意味では、もしかするとこの曲はシングルにはならなかった可能性はあるのかもしれません。「SWEET MEMORIES」から始まる一連のサントリーのペンギンキャラクターの最後を飾る?映画の中の作品の一つでしかなかったもかもしれません。
この曲は「ペンギンズ・メモリー〜幸福物語」で使われた曲である点をスルーして語ることはできない作品だと私は思っています。

「ボーイの季節」の頃はぽぽんたさんがおっしゃる通り、聖子さんの声は完全に完成されており、このような難しいバラードでも完全に自分のものにしていました。夏に向けての作品としては少し地味で、自分としてはそこまで好きな作品ではないのですが、この作品が収録されたアルバム『The 9th Wave』は『Pineapple』『ユートピア』『Tinker Bell』と続いてきた夏のアルバムの集大成的なものであると同時に、松本隆氏の参加していない意欲的なアルバムだと思っています。最後を飾る尾崎亜美の作品「夏の幻影(シーン)」はスケールの大きな作品で夏の終わりにぴったりの曲です。「グッバイ、グッバイ」の歌詞のあと、波の音で終わっていくのを聴くと、聖子さんのアイドルとしての終焉を感じてしまうのは私だけでしょうか。

長くなりましたが、今は1stアルバムから18枚目くらいまでの約10
年にわたるオリジナルアルバムの全てをCDで持っていますが、当時のCandy Voiceと言われたあの歌声そして作品はずっと残っていくでしょうし、聖子さんのような歌手はもう二度と出てこないでしょう。それをリアルタイムで体験できた私は幸せだったなと思います。

キーを下げて歌っている今の聖子さんの曲を聴きたいとは思いません。でも、それを否定したりはしません。年齢が上がれば声も出なくなります。今の聖子さんはステージ中心ですが、ファンのために歌い続けているという姿勢はすごいと思います。
そして一人のアイドル歌手が41年にも渡り、第一線で歌い続けているということも本当に素晴らしいことだと私も感じます。

by widol (2021-07-11 17:59) 

ぽぽんた

widolさん、こんにちは! お返事が遅れて申し訳ありません。

私は松田聖子さんのデビュー当時、その存在は知っていたものの当初はあまり関心がなく、
同世代が買うような雑誌を読んでいた時に急激に人気が出てきたのを知ってから
きちんと見るようになった、というタイプです。
しかし「ザ・ベストテン」は毎週楽しみに観ていたので(当時、その番組のCMでは
太田裕美さんの「南風」(キリンレモンだったかな)や、ゴダイゴの
「What Did You Do For Tomorrow?」(日立の何か、だったかな)が毎週流れていたのを
よく憶えています)、羽田空港からの中継や「おかあさ~ん」事件(?)もしっかりと
記憶にあるので、実は興味を持ち始めていたのかも知れません。

マスター・サウンドシリーズ、ありましたね! レコード盤自体が通常盤よりも厚みが
あったり、半速カッティングされていたりとオーディオ好きにはとても興味を惹かれる
ものでした。 私はアース・ウィンド&ファイアーのベストをマスターサウンドで
買いました。
「Seiko Index」、そんな事があったんですか! 通常盤はどうだったのかな。
聖子さんの初めてのベスト「Seiko Fragrance」は私は発売と同時に買ったのですが、
別にそのような事はありませんでした。 もしそれが仕様ならば、かなりお粗末と
言わざるを得ませんね(^^;)

本当に色々なミュージシャン、作家が作品を提供していたので、曲のバラエティは
もの凄かったですね。
ただ、どのような作家の作品でもアレンジが大村雅朗さんであるものが大部分で、
それがサウンドのまとまりを作っていたのと同時に、作家の個性を薄めてしまっていた
部分もあるような気も、個人的には感じています。
聖子さんの歌唱は素晴らしいのですが、どの曲も同じような歌い方に感じられる事も、
これも私個人の感想ですがよくありました。
そういう意味ではアルバム「Windy Shadow」のラストに収められている「Star」を耳に
した時、デビュー当時の発声が思い出され何となくホッとしたものです。

以前にも書きましたが、私にとっては松田聖子さんは最初の5年間だけの人で、
内容の良さで復帰アルバム「Supreme」を買って、それまで…と言う感じでした。
私にとってはそれで十分ですし、同じ意見の人も意外とおられるのではないでしょうか。
でも、もし1985年で芸能界を引退していたとしても、きっと今も聴き続けているだろう、
と思います。

by ぽぽんた (2021-07-18 15:31) 

White Autumn

ぽぽんたさんごぶさたしております。暑くなってきましたね。
最近この時期の松田聖子さんの活動について調べていて、久しぶりにブログを覗いてみたら「ボーイの季節」が取り上げられていてびっくりしました。

聖子さんは当時、アメリカでの発売を目論んでいたアルバム(結果的に国内のみ発売になりました)のレコーディングのため、1984年秋から1985年5月ごろにかけて幾度か渡米していました。その上に映画の撮影、国内のコンサートツアー、テレビなどの出演や取材が加わるという状況で、国内発売の新曲に割く時間があまり取れなくなっていました。CBSソニーの担当プロデューサー若松宗雄さんがYou Tubeチャンネルで当時のエピソードを語っていて、コメントにも丁寧に返信なされていますが、あまりにも仕事量が多すぎて、記憶が定かではないところもあるようです。そんな中で聖子さんは神田正輝さんとの結婚を決めたのです。

大村雅朗さんの評伝本によれば、尾崎亜美さんが書いた2曲はレコーディング記録が残されていて、「天使のウィンク」は1984年12月25日~28日制作、「ボーイの季節」は1985年3月27日~28日制作、ボーカルダビング4月12日ということです。従って、尾崎さんがラジオ番組でお話されていた「クリスマスが終わってすぐに若松さんから電話があって…」は微妙に記憶違いかもしれませんが、急な依頼だったこと、および1ヶ月程度で仕上げたことは確かです。

いくら海外レコーディングがあるとはいえ、そのスケジュールは前々から決められていましたし、若松さんが尾崎さんに無茶振りをするからには相応の事情があるはずです。私はたくさんのお話に触れて、

「一時的にでも、松本隆さんの詞から離すほうがよい。」

という判断が1984年暮れになされたのではないか、と考えました。あくまでも私の直感です。
直接聖子さんが意思表示したかどうかまではもちろんわかりませんが、「ハートのイアリング」の次の新曲も松本さんに頼んだものの、レコーディングした時の感触があまり芳しくなくて、やむなくボツにしたと考えれば最も自然です。アルバム「Windy Shadow」で松本さんは、やや聖子さんの内面に踏み込み過ぎているような詞も書いています。聖子さんの心のうちまで読み取れるような松本さんだからこそ、ここから先は遠慮して欲しい。そんな想いが読み取れます。

若松さんは時間が限られている中、女性ライターに頼むことを思いついたのでしょう。小坂明子さんは1984年10月に「夜のヒットスタジオ」で共演した時の反響が大きかったから、尾崎亜美さんは「いそしぎの島」を書いてもらった時の感触がよかったから、といったところでしょうか。アルバム「The 9th Wave」の作詞は尾崎さんも含めて全員女性です。復帰作の「Supreme」も、最初は女性作詞家の作品でまとめる構想だったと聞きました。

そんなことを考えるようになった背景として、最近松本さんが各メディアやSNSで語る話が、ちょっと尊大の度が過ぎかけているように感じられることがあります。先日作詞家50周年記念トリビュートアルバムが発売されましたが、早速amazonに相当辛口のレビューが掲載されました。筒美京平さん以外の作曲家や阿久悠さんに対する敬意が欠けているのではないかと。大先生になり、敵なしの松本さんに誰もが遠慮している状況で、よく声をあげてくださったと思います。私も松本さん大好きですから、晩節を汚して欲しくないのです。70歳を越えて、当時の関係者で亡くなられた方も次第に増える中、いつまでも日本語ロック革命や、太田裕美さん・松田聖子さんを成功に導いた手柄を自慢しつつ、GSやカレッジフォークや、阿久悠さんや三木たかしさんたちをくさしていると、最後にはご自身に戻ってしまうのではないかと懸念しています。そんな折にぽぽんたさんの記事を読んで、盲目的に賛美せず、きちんとした目で評価している方がいらっしゃることに心強さを感じました。

「ボーイの季節」はwidolさんのコメントにある通り、映画「ペンギンズ・メモリー 幸福物語」の主題歌として作られた曲です。今VHSビデオを見ていますが、渡辺貞夫さんが書いた「Blue Love Letter」は映画本編に使われていません。ペンギンキャラクターのサントリー缶ビールCM用のショートバージョン(英語詞)のみレコーディングされています。後で渡辺さんがメロディーを足して、サックス演奏で「幸福物語」のサントラ盤に収録されたという流れです。聖子さんは「天使のウィンク」のレコーディングが終わるとすぐに渡米したため、完成させる時間が取れなかったとみられます。映画のプロモーションも兼ねて「ボーイの季節」をシングルで出すことを決めたと思われます。「Musical Life」は松本さんの作品ですし、シングル向けの曲ではありませんね。

今日は酒井政利さん、ブルーコメッツの高橋健二さんの訃報がありました。いつかは避けられないこととはいえ、あの頃の音楽界を牽引した方々が次々亡くなられるのは淋しいですね。ご冥福をお祈り申し上げます。
ぽぽんたさんもどうかご自愛ください。

by White Autumn (2021-07-19 23:02) 

ぽぽんた

White Autumnさん、こんにちは! お返事が大変遅くなり申し訳ありません。

当時の流れを実に分かりやすく説明して下さってありがとうございます。
私は正直なところ、1983年1月に発売されたシングル「秘密の花園」の頃から「ん…どうも
入り込めないな…」と思い始めていました。
歌声は実に安定してきたし、キャラクターも大好きだったのですが、どうも肝心な新曲が
「つまらない」と思えていたんです。
その前の「野ばらのエチュード」も退屈な曲でしたが(この曲が好きな方、ごめんなさい!)、
極端に言うと素人が自己満足で作っている曲と言った感覚に近づいてる、そんな気がした
んですね。
勿論松本さんと素人を同じ壇上に置いてはいけないのですが、あまりに書く曲書く曲が
ことごとくヒットしてしまうので慢心が出たのでは、とも思うんです。
「時間の国のアリス」について「こんなシュールな歌詞があんなに簡単に採用されるとは
びっくりした」と言ったような発言も目にした事があって、それって明らかに制作陣を
「試して」いたわけですよね。
「白いパラソル」の頃はテーマがが明確で情緒も深いものがあって共感できていた
のですが、「天国のキッス」に至っては「なんじゃこれは」と言った感じでした
(あくまでも個人的に、です)。

今度B'zがカバーする事になった「セクシャルバイオレットNo.1」にしても、
その化粧品のコピーがあまりにダサくて云々…と言いながら仕事はしっかり受けて
しまっているなど、そういった面ばかりを見てはいけないのはわかっていますが、
少々真摯さが足りないのでは…とも感じています。

そんなこんなも、歌手・松田聖子には関係ないことで、どのような作品も多くの人の
耳に届ける事ができた実力は実に素晴らしいと思っています。
ただ、休業前の2曲(シングルで、ですが)で尾崎亜美さんが楽曲提供したのは、
当時は急な事だったとしても今思うと良い流れだったのかも知れませんね。

酒井政利氏、高橋健二氏の訃報は残念としか言えません。
特に酒井氏は昨年あたりにもテレビで見た覚えがありますし、あまりに急で驚きました。
しかしオリンピック関連や小山田圭吾氏の過去についての報道ばかりで、
酒井氏関連の報道が極端に少ないのが至極残念です。
本当に実績のある人なのにこれほどまで注目されないとは…不条理ですね。

コロナはまだはびこっているようですね。
ワクチンはもう受けられましたか? 私はなかなか番が回ってきません(^^;)
お互い、まだまだ気をつけたいものですね。

by ぽぽんた (2021-07-25 15:33) 

Y

KBCラジオのサンデーミュージックアワーで、聖子さんと同時期デビューの歌手の方で、黒木真由美さんという方の「好奇心」という曲が流れていましたよ。1月ごろでしたが。阿久さんと都倉さんコンビの曲だそうです。
by Y (2022-03-05 11:12) 

ぽぽんた

Yさん、こんばんは!

黒木真由美さんはそれこそ鳴り物入りのデビューでしたが、芳しい成績を残せぬまま
引退してしまいましたね。
私は個人的には「神さまお願い」が好きだったりします(^^)

by ぽぽんた (2022-03-07 00:02) 

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