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風立ちぬ / 松田聖子

↓ このジャケ写、意外にも聖子さんは気に入ってないとか(^^;):

風立ちぬ.jpg

「風立ちぬ」は松田聖子さん7枚目のシングルとして1981年10月に発売され、
オリコンの同年10月26日付けで1位、100位内に18週でチャートイン期間の
売り上げが51.9万枚の大ヒットでした。


「風立ちぬ」は、経緯はよくわからないのですが、発売されて間もなく
イギリスの音楽界で「極上のポップス」と高く評価されたと雑誌で読んだ事があります。


この曲と松田聖子さんについては、インターネットの検索をかけると
様々なエピソードが続々と出てきます。 それをここに羅列しても
あまり意味がないので、私は音楽面・サウンド面から追ってみたいと思います。
少し専門的な話になりますが、ご容赦をm(_ _)m


作詞は前作「白いパラソル」から定番になった松本隆氏。
作・編曲は、松田聖子さんのシングルではこれまでのところ
これ1曲だけの大瀧詠一氏です。


クレジットを見ると「編曲:多羅尾伴内」とありますが、これは勿論
大瀧詠一氏の、アレンジャーとしての名前で、この曲のリリースまでにも
ご自身のアルバムで頻繁に使用していたそうですが、「多羅尾伴内」が登場する
ミステリー映画の原作者である比佐芳武氏の関係者がクレームをつけたため、
「風立ちぬ」以後の曲ではその名は使えなくなったそうです。


大瀧詠一氏と言えば同じ年の春にアルバム「A LONG VACATION」を発売し
大ヒットを記録しましたが、松田聖子さんの「風立ちぬ」と同名アルバムでは
「A LONG VACATION」で大滝氏が得たアイディアとサウンドが実験的に
応用された形になっています(アルバム「風立ちぬ」ではA面5曲のみ)。


大滝氏のサウンドはよく「フィル・スペクター」が引き合いに出されますが、
それは具体的には 1.音数の多さ 2.エコー・リバーブの多用
に集約されると思うんです。


「風立ちぬ」に参加しているミュージシャンは、ドラムス以外はほぼ
「A LONG VACATION」で起用されたメンツとなっています。
なので、演奏の雰囲気が似ているのは当然なんですね。


大瀧詠一氏の担当エンジニアは、歌手の吉田美奈子さんの実兄でもある吉田保氏で、
氏が作り出すリバーブサウンドが大瀧詠一氏、またこの曲とは無関係ですが
山下達郎氏にとっての重要なアレンジの一部になっています。

松田聖子さんのアルバムでも、大瀧詠一氏の作品では
吉田氏が録音・ミックスを担当しています。


音楽的な事に目を向けると、「風立ちぬ」は例外ですが、大瀧詠一氏の曲の特徴として
転調の多用を無視する事はできません。

ご自身のシングルとして発売された「カナリア諸島にて」では、2番が終わった所でキーが
(B♭→) D♭→E♭ と変化しまたB♭に戻る。

松田聖子さんの「ガラスの入江」では、サビで (B♭→) E♭→F と来てまた B♭ に戻る。

さらに松田さんの「四月のラブレター」では、サビで (B♭→) D♭→B と移りまた B♭に。

…と言った具合に、曲中でまさに自由にキーを変えている感じなんです。
しかもそれが一瞬「えっ?」とは思うけども流れが不自然ではないんですね。


「風立ちぬ」ではそのような露骨な転調は使われていないのですが、
♪すみれ・ひまわり・フリージア♪ に続くコードが B♭・D♭・Cm7・F7 と
流れている箇所、また1回目の ♪SAYONARA SAYONARA SAYONARA…♪ で
Gm・E♭M7・A♭M7・G♭・F7 と進行しているあたりに、どこか
転調をにおわせるようなこだわりを感じます。


特筆すべきは ♪涙顔見せたくなくて…♪ ♪高原のテラスで手紙…♪ などで使われている
B♭・Faug のコード進行で、ここは普通ならば単純に B♭・F7 と進行しても
全く違和感がないはずなのですが、オーギュメントという普段は中継ぎのような機能
しかないようなコードを敢えて使い、その曖昧な響きで主人公の心情を
きめ細かく表現しているように私には思えるんです。

この曲は詞先だったそうで、そのコード進行もそれ故のアイディア
であったのかもしれません。

そして、その部分のコード感を上品に盛り上げている2台のチェンバロの音も格別です(^^)


ストリングスはキーボーディストの井上鑑氏によるアレンジで、この1年半後に発売された
薬師丸ひろ子さんの「探偵物語」につながるような流麗な、しかも
どこかセンチメンタルなサウンドで「風立ちぬ」のオケの主役を担っています。


女性コーラスは筒美京平氏アレンジの楽曲でも大活躍したシンガーズスリーですが、
例えば岩崎宏美さんの楽曲に於けるバックコーラスとは違い、
歌詞がなく一つの楽器音のように使われているんですね。


ドラムスの「ストン!」といった感じのスネアのサウンドがとても印象的で、
その音作りもかなり手が込んでいるものと推測できます。


その他、ハープやキーボードなど多くの音を確認できますが、その間をリバーブが
うまく埋めるように細かいところまで計算されたアレンジであるようです。


この頃の松田聖子さんは声の調子が絶不調だったそうで、「風立ちぬ」B面の
「Romance」では半ばヤケっぱちにさえ思えるダミ声ヴォーカルになってます(^^;)


「風立ちぬ」のレコーディングではヴォーカルを全部で6テイクも録音したそうで、
当時の聖子さんの声の調子を考えると、レコード化された音には
かなり細かくスイッチングされたヴォーカルが入っていると思われます。


「風立ちぬ」
作詞 : 松本隆
作曲 : 大瀧詠一
編曲 : 多羅尾伴内
レコード会社 : CBSソニー
初発売 : 1981年10月7日

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Nori

どこをドー聞いても、大瀧サウンド(ナイアガラサウンド?)ですね。
80’sのバブル前夜とも言うべき優雅さが、ある種の余裕さえ感じさせます。

ぽぽんたさんも触れられているタムの音ですが、タム後にバスタムを入れるのも、この頃流行っていたように思います。

既にシングル7曲目で、不動の地位を確立した聖子ちゃん。
まさか大瀧詠一の曲が合うとは思えませんでしたが、なるほど松本隆氏との繋がりがあったと言う事は、そういう事だったんだろうなぁ。。。と後年納得したりして。^^

実力派好みの私としては、ブリッコ聖子ちゃんには興味を持ちませんでしたが、彼女の曲を聞くと、受験地獄をようやく終えて、今では夢のような腑抜けた大学時代を思い出します。^^;
by Nori (2010-10-17 19:38) 

る~く

風立ちぬ、大好きです。当時聖子ちゃんの曲で、んん?って思った。
その頃は、ナイアガラもフィルスペクターも知らなかったのですが、何となく魂にビビっと来たのかなあ。

さて、フィルスペクターが見え隠れしているのを、このオリカラ聴いて認識しました。
サビの少し前からサビにかけて入ってくるカスタネット。
サビのジングルベル(よくクリスマスソングに使われる、シャンシャン鈴の音)。
フィルスペクターといえば、クリスマスアルバムが有名。そのエッセンスというか、ネタをちりばめてあるのが楽しいですね。
もちろん、フィルスペクターサウンドは、ウォール・オヴ・サウンド(音の壁)。分厚く重ねられたパートと、深いリバーブが、そのしるしですね。
by る~く (2010-10-17 22:42) 

オリ25

大瀧さんの一連の作品群のゴージャスなサウンドといったら
聴いているだけで幸せな気分に浸れます
大瀧さんとのコラボでは「一千一秒物語」が最高傑作だと思います
当時アルバムを聴いた時になぜこちらをシングルにしなかったんだろうと
思いました あ、決して、風立ちぬが嫌いなわけではないです

頭サビのあとのストリングスが、橋幸夫さん「雨の中の二人」を
髣髴とさせますね

by オリ25 (2010-10-18 13:52) 

ぽぽんた

Noriさん、こんばんは!

私は聖子さんとは同じ学年なので、私の高校卒業以後の思い出に、聖子さんの
歌があちこちに貼り付いてます(^^)

私が本文で書いたのはタムではなくスネアの事ですが(^^;)、スネアが2・4拍目を
打って4拍目の裏でバスタムを打つパターンはよく聞かれました。

聖子さんはこの曲、レコーディングにはものすごく苦労したそうですが、他のどの
曲とも違う光を今でも放っていますね(^^)

by ぽぽんた (2010-10-18 23:07) 

ぽぽんた

る~くさん、こんばんは!

この曲、私にとっては初めて本気で「買いたい」と思ったシングルなんです。
サウンドも歌唱も本当に大好きで、大好き過ぎて次の「赤いスイートピー」が出た時
かなりガッカリしたんですよ。 今では「スイートピー」も好きな1曲ですが(^^;)

このサウンド、日本ではフィル・スペクターというより大瀧サウンドですよね。
エッセンスをそのままに、フィル・スペクターが現役の頃にはハードの制約で
出来なかった事を大瀧さんが実現した部分も大きいと思うんです。
私は今では、鈴のリバーブ音がシャカシャカ鳴っているととっさに「大瀧詠一」が
頭に浮かびます(^^;)

by ぽぽんた (2010-10-18 23:17) 

ぽぽんた

オリ25さん、こんばんは!

私も「一千一秒物語」、大好きです(^^) 曲の構成としては「風立ちぬ」とよく似て
いるし、メロディーも歌詞も非常にキャッチーなので、シングルで出ていたら必ず
大ヒットした事でしょう。 サウンド的にも、少し破壊的な感じさえする大胆なドラムスの
音作りが大好きなんです。 ただ「クールミント」は商品名なので、当時のNHKは
放送しなかったかも知れませんが(^^;)

ストリングスもいいですよね(^^) この頃からストリングスのサウンドも、70年代とは
徐々に変わってきた気がします。

by ぽぽんた (2010-10-18 23:27) 

茅ヶ崎住人R

このアルバムは大好きでした。
どのぐらい好きかというと
アルバムも、レコードで2枚(1枚はなんだか音がいいやつ)
CDも2枚(再発されたDVD付きのと音楽選書)の
計4枚持っているぐらいです。
雨のリゾートと一千一秒が好きです。
声不調のハスキーな感じが
かえって、いい感じだとも思います。
by 茅ヶ崎住人R (2010-10-20 01:18) 

卓

なんとなく「森進一の冬のリヴィエラ」「小林旭の熱き心に」を思い出してしまいます。

当時、喉の状態は相当悪かったらしく、喉に注射(どこにするの?)をして、歌番組に出演したと女性週刊誌に載ってました。顔の状態も悪く、かなりブツブツとニキビができていたような・・・。

TVジョッキーで、次の曲の「赤いスイトピー」を歌った時も、喉・肌とも最悪だったのを記憶してます。

歌入りは好きではないのですが(松本さん、ごめんなさい!)、このカラオケを聴くのは大好きです(笑)。
by 卓 (2010-10-20 12:23) 

マコジ

へ~!
大瀧詠一と山下達郎のリバーブは同じエンジニアだったんですか!
悲しみのJODYとかモロですよね。
むちゃむちゃ納得です!
いやー、このブログほんとに勉強になります^^

僕は転調転調で責めてくれる「いちご畑でつかまえて」が、彼女の曲の中では一番のお気に入りです。
終わったと見せかけてフェイド・インする仕掛けとか・・・遊び心満載で^^
「くしゅん!」もたまりませんしね^^
もちろん「風立ちぬ」も大好きなので、このアルバムはヘビーローテーションですよ!
by マコジ (2010-10-20 22:29) 

shintaro

はじめまして、唐突ですみません。
。。この曲をフューチャーしたアルバム、1981年、私が高校生の晩秋に、あえて一ヶ月遅れて発売される、CBSソニーのマスター・サウンド・シリーズのLP購入して聞きました。

僕がそのLP購入前? 大滝詠一さんのFMの番組で、パートナーかリスナーの質問で、「今一番聞いてるアルバムは?」との問いに、大滝さんが「風立ちぬ」と即答されて、僕は、なるほどと共感したのを覚えてます。

コーラスの女性が、放課後のP・T・Aのおば様コーラスに聞こえます。
でも、かっこいいと思います。

で、聖子さんのナイアガラサウンドでの楽曲を、今後期待する人は少なくないと思いますが、実現するには、難しいでしょうかね?(残念)

「風立ちぬ」この楽曲は僕にとって青春の1ページです(照)
では、また。
by shintaro (2010-10-20 23:11) 

ぽぽんた

茅ヶ崎住人Rさん、こんばんは!

すごい入れ込みようですね(^^) 私は有り体に申し上げると、アルバム「風立ちぬ」
の最初の経験は当時流行し始めていた貸レコードです(^^;) それからブランクが
あって、初版のCD(35DH26)を買って現在に至ってます。

私は全曲好きですが、最後の「December Morning」は私の中では永遠の冬歌
なんです(^^)

by ぽぽんた (2010-10-20 23:51) 

ぽぽんた

卓さん、こんばんは!

やはり同じ大瀧詠一氏の作品という事で、その2曲とも共通点が多いですね(^^)
「熱き心に」はアレンジが大瀧詠一氏と前田憲男氏との共同作業であるのに対し、
「冬のリヴィエラ」は前田憲男氏の単独作業なんですね。 しかしサウンドはしっかり
大瀧流を踏襲しているのが非常に面白いと思います。

そう言えば、この頃の聖子さんはテレビでアップになると必ずニキビがありました
ねぇ(^^;) ご本人もかなり気にしていたようです。

by ぽぽんた (2010-10-20 23:56) 

ぽぽんた

マコジさん、こんばんは!

お役に立てて嬉しいです(^^) 私は録音技術については昔から何よりも興味を
持っていて、特にエコー関係は大好きな分野だったんです。 なのでそれを語り
始めると一晩明けます(^^)

「いちご畑でつかまえて」とのタイトルは勿論イギリスの小説「ライ麦畑でつかまえて」
のパロディーなのでしょうが、内容は関係ないようですね(^^;)

私も初めてこの曲を聴いた時は驚きました。 仕掛けだらけですよね(^^;)
エンディングで ♪ピタンピタンピドゥビドゥビダン…♪が半音ずつ上に転調しながら
F.O.したかと思うとまたF.I.して今度は同じスキャットが半音ずつ下に転調しながら
またF.O.しますが、あれは実際に歌うのは非常に難しい。 松田聖子さんは本当に
頑張ったんだな、と今更ながらに思います。

by ぽぽんた (2010-10-21 00:11) 

ぽぽんた

shintaroさん、初めまして! コメントをありがとうございます(^^)

とても良い思い出として残っている1曲なんですね(^^) なるほど~、あの♪Ah~…♪
と歌われるコーラスがオバサンに聞こえる…なんか納得です(^_-)

マスターサウンドシリーズでの発売を待って買うとは、かなりのマニアですね。
そのレコードは普通のレコードよりも厚みがあってズシッとしてましたね。 私は
別アーティストで1枚持っていますが、アナログならではのこだわりがあってその
ポリシーが好きでした。

因みにLPの「風立ちぬ」はエンパイアの4000D/Iで聴くとしっとりとした極上の
音になるんですよ。

今後、大瀧氏と松田聖子さんとのコラボは難しいでしょうが、現在の聖子さんの声を
ナイアガラサウンドに乗せるというのは非常に興味深いですね(^^)

これからもどうぞよろしくお願いします!

by ぽぽんた (2010-10-21 00:24) 

青大将

今晩は! 皆さん、大瀧詠一にお詳しいですね。 「雨のウエンズデイ」、「さらばシベリア鉄道」、「君は天然色」と3枚のシングルは持ってるものの、作風とか 是迄あまり気にした事無かったですね。 ひとつひとつのコメントを拝見すると勉強になります。「風立ちぬ」は当時決して嫌いではありませんでしたが、特に好きといった曲でも無かったのです。 しかし、数年前から頻繁に(特に秋の頃)聴く様になりましたね。 松田聖子の楽曲は、そういうの多いんですよ。 この一年後の「野ばらのエチュード」なんて、当時は《なんちゅう、つまらん、欠伸の出そうな歌だ》と思って居たのが、今は結構ハマッてたりしてます。 高1の秋、昼の校内放送で「風立ちぬ」を始め、「いちご畑でつかまえて」等、数曲が 掛かりました。 おそらくはアルバムを掛けたのでしょう。 「いちご~」は一度聴いた丈で頭にインプットされてしまいました。 この頃の弁当は、卵焼きにウインナーソーセージ、あと鷄ささ身の唐揚げと日の丸ご飯が定番で、これに食堂前の自販機で買うレモン味の清涼飲料の紙パックを組み合わせたモノだったのですが、 「風立ちぬ」を聴くと今でも それらの味と匂いが瞬時に甦ります。歌って、そういった効能も有るんですよね。
この曲の演奏、ホント、良いですね! 研ぎ澄まされてると云うか・・・。 B面「Romance」聴くと、資生堂エクボのCMの関係で、山田由紀子の顔が浮かびます。 そういえば、「風立ちぬ」のエンディングのメロと、「天国のキッス」のエンディングのメロって、何か似てません? 俺だけかな(^^; 。
by 青大将 (2010-10-23 23:32) 

ぽぽんた

青大将さん、こんばんは!

私も大瀧詠一氏の音楽は大好きで(^^) 最初は友人から「これいいよ」と貸して
もらったのが「A LONG VACATION」で、それ以後はハマりまくりました。
何というか、ロック畑の人のはずなのに、音が上品というか知性があるというか、
筒美京平氏とはまた違う充実感を、そのサウンドから感じるんです。

私は西城秀樹さんの「ちぎれた愛」を聴くと、小学6年の秋、「お昼の放送」をする
ために放送室に持ち込んだ給食の豚汁ときなこパンのにおいを思い出します(^^)

「風立ちぬ」のオケは、よくこれだけの楽器を使って音がまとまっているな、と私は
思ってしまいます。

本文に書き忘れたのですが、2番の終わりの方、♪…不思議な旅です♪ の次、
♪風立ちぬ…♪ に入る前に3連で2小節入りますが、その2小節目に♪アァ…♪ と
聞こえるファルセットの声は大瀧詠一氏ご本人だそうです。

エンディングについては、音使いが似てますね。 「風立ちぬ」では半拍おいて
レーミファソラシドー となっていて、「天国のキッス」ではストレートに ドーレミファ
ソラシドー となってます(^^)

by ぽぽんた (2010-10-24 00:51) 

JIGEN

大瀧詠一さん突然の訃報、とても残念です。彼のナイアガラサウンドはユニークで、印象的なメロディーと、編曲で好きだったのに・・・
天国でも、神様がアッと驚くような、おもしろい曲を、マイペースで作ってくださいね、ご冥福をお祈りいたします。合掌

by JIGEN (2013-12-31 13:44) 

ぽぽんた

JIGENさん、こんばんは!

私も本当に残念です。 細野晴臣さんがソロアルバムの打診をしていたそうで、
それが叶わなかったのが尚、残念です。
しかしこれまで大瀧さんが作った音楽は永遠です。 これからもずっと楽しんでいきたいと思います。

by ぽぽんた (2013-12-31 20:28) 

uncle bear

私もショックで思わずブログに書きました。 トラックバックさせていただきました。↓ (T . T)
by uncle bear (2014-01-01 03:00) 

ぽぽんた

uncle bearさん、あけましておめでとうございます。

ブログを拝見しました。 ロンバケの影響力はもの凄かったようですね。 2011年に
再発されたCDにはオリジナル・カラオケ集がついているので、楽曲はいつまでも楽しめそうです。
私も「雨のウェンズデイ」あたりを歌ってみようかな(^^)

by ぽぽんた (2014-01-01 23:55) 

ライン

松田聖子の表現力を十分に感じられる一曲だと私は思います。
聖子ちゃんの印象は、曲のイメージは「南沙織」雰囲気は「天地真理」 
とにかくとても懐かしく新鮮な感じがしたので大好きでした!
by ライン (2015-04-04 00:26) 

ぽぽんた

ラインさん、こちらでもこんにちは!

私も「風立ちぬ」は、松田聖子さんの歌唱の魅力が一気に高まった曲と思います。
当時、松田聖子さんは声が思うように出なくて苦しんでいたそうなのですが、
この曲やアルバム「風立ちぬ」はそれを逆に生かして作られたように感じられます。
今聴いても素晴らしいですね(^^)

by ぽぽんた (2015-04-04 10:19) 

ヒガLIP

はじめまして!
松本ちえこさんの恋人試験でググってましたら、ぽぽんたさんの貴サイトにたどり着き、大好きだった聖子さんの風立ちぬレビューに感激しました! 実は、当時僕は大瀧詠一さんを知らなくて(汗)、聖子さんの風立ちぬシングル・アルバムで大瀧サウンドの世界にハマり、ロングバケーションを購入したんです。みなさんとは逆パターンですか??
どなたかもコメントされてますが、僕も一千一秒物語のほうをシングルにすればいいのにー、と思ってました。当時のヒットチャートで、風立ちぬは1位こそ取ったものの、その後近藤真彦さんのギンギラギンにさりげなくには追いつけてなかったので、キャッチーなメロディの一千一秒・・のほうだったらマッチを追い越せていたのにー、などと思ってたものです。
ブログを読んだ今なら、より難解な風立ちぬのほうがシングル化されたのか、わかるような気がします!?
by ヒガLIP (2015-12-16 15:51) 

ぽぽんた

ヒガLIPさん、はじめまして! コメントをありがとうございます(^^)

実は私もヒガLIPさんと同じパターンなんです。 大瀧詠一と言うミュージシャンがいる
と言う事は知っていましたが、以前に楽器の雑誌で「ナイアガラサウンドの…」と言った記事を
見た事があっただけで、音楽を聴いた事がなかったんです。
で、レンタルレコードで「風立ちぬ」のLPを借りて聴いてみて「なんじゃこりゃ!?」
とそのサウンドにたまげて、それと前後して高校時代の音楽仲間が「ロンバケ、
すごくいいから聴いてみて」とレコードを貸してくれて、それからハマりました。

ハッキリ言って、当時の聖子さんの勢いだとどんな曲でもヒットしたと思いますが、
「一千一秒物語」をシングルで出していたら間違いなく大ヒットしたでしょう。
ただ大瀧作品はサウンド自体に強い主張があるので、シングルを続けて出すと
その色に染まり過ぎて後が続かなくなる危険があったかも知れません。 
なので、シングルでは1枚で済ませたのは正解だった気がします。

今思うと、「風立ちぬ」のような複雑な曲がヒットするような状況、世の中も
素晴らしかったように思います。

これからもよろしくお願い致します!

by ぽぽんた (2015-12-17 23:25) 

ヒガLIP

ぽぽんたさん、お返事コメありがとうございます!!

ぽぽんたさんもそうだったんですかー、そうすると同じようなパターンの人はかなりいる、と読みました。大瀧さんは聖子さんプロデュースにあたって、自身のレコードセールスの宣伝にもかなりの好効果をもたらしたのですね(笑)。一石二鳥!!
僕はサウンド面での技術的方法は詳しくないですけれども、大瀧さんのロンバケを初めて聞いたときは、あまりの重厚なキラキラ感にカルチャーショックを受けるほどでした。若干中学生の段階であの独特の音楽的世界観に触れられたのはとてもラッキーでした。聖子さんも大瀧さんによってグレードアップしましたけれども、ファンの僕もグレードアップできた感じでしたもの。

81年の聖子さんって、夏の扉以外の3曲に関しては、自身も受け入れに苦労されてたようですけれども、それってレコードの歌声にも反映されているような気がしませんか?何か聖子ノレなーい的な(笑)。
少なくとも、楽しげに歌っていない感が当時から漂ってますよね。
良くも悪くも、正直なのかな・・・声の調子の上下は、意外と彼女の精神面から来ていた部分もあったのかもしれませんね。
声に関しては少なくとも、映画「野菊の墓」のお仕事は、喉にダメージを与えてしまったのではないか、と当時の僕は感じてましたし、今もそう思います。

今度、「一千一秒・・・」のほうにもコメントさせてくださいね^^
by ヒガLIP (2015-12-18 15:47) 

ぽぽんた

ヒガLIPさん、こんばんは! お返事が遅くなり申し訳ありません。

私が初めてロンバケを聴いた時にまず思ったのは、こんなに沢山の音を使っているのに
なんてわかりやすい、そしてセンチメンタルな音楽なんだろう…と言う事でした。
それは歌謡曲と通じるものがあって、大ヒットになったのはそれが大いに関係してると思います。

どんなに豪華な音でも聴いているうちに虚しくなるような音楽もあるのですが、
大滝さんの音楽は聴いていて充実した気持ちになれるんですね(^^)

1981年の聖子さんは、特に後半は疲労困憊と言った感じがテレビからも伝わって、
ちょっと痛々しかったのを憶えています。
ただ音楽的には、私はその年に出した楽曲が最も好きなんです。
方向性が定まっていない感じで、様々なタイプの楽曲があったからかも知れません。

よく思うのは、1982年から始まる聖子さんのキャンディーボイスは、もしかすると
大滝さんがプロデュースしたのでは?って事なんです。
そういう意味で「一千一秒物語」は聖子さんにとって重要な曲と感じています。

発売1ヶ月ほど前に収録されたと思われる、「風立ちぬ」のジャケ写と同じ髪型で歌っている
「赤いスイートピー」を観ると、1981年と1982年が見事にオーバーラップしていて
不思議な気持ちになります(^^)

by ぽぽんた (2015-12-20 22:00) 

ヒガLIP

そうですねー、大瀧サウンドはセンチメンタルで充実した気持ちになれる、というぽぽんたさんのコメント、僕も同感です!
そうそう、そんな気持ちになります!!
上手い表現方法が思いつかなかったので、胸のつかえが取れた感じです(笑)。

昔、高校生ぐらいのときかなー、何かのミュージック雑誌(確か、KEYBOAD JOUNALだったと思います)で「風立ちぬ」の製作エピソードの記事を読んだ記憶があるのですが、大瀧さんはボーカル入れの際、聖子さんに「これはあなたの曲だから好きなように歌ってかまわないけれど、ここの部分だけはこう歌ってくれますか?」とアドバイスした部分があるそうです。
「えーっ、一体どこの箇所なんだよ~~」と知りたい欲求掻き立てたれ、未だに自分の中では謎です。大瀧さんの歌い方を真似た箇所なのでしょうか、それとも・・・。
ぽぽんたさんはどの部分だと思われます?^^

いずれにせよ、聖子さんの当時の喉の調子、大瀧さんの歌唱指導を合わせた産物がキャンディーボイスを生み出して、僕はさらにその後のユーミンから影響を受けたの歌唱テイストがゆるぎないものに完成させたのでは、とも思っております。
82年のアルバム「Candy」の名付け親が大瀧さんだったら、笑えます(ありえないけど・・・)
ロングヘアーでの「赤いスイートピー」僕は見てたかなあ?

その「CANDY」での「四月のラブレター」で、聖子さんは再び大瀧さんの歌を歌っておりますが、随分と大瀧さんの歌い方に似ているなあ、と感じるところが多いですよねー。出だしの♪ラブレター、のところから、似てるなあ・・・という印象です。この頃の聖子さん、喉の調子も戻って「もう大瀧さんの歌、ヨユーよ!」って感じなのでしょうね(笑)。




by ヒガLIP (2015-12-21 15:32) 

ぽぽんた

ヒガLIPさん、こんばんは!

ありがとうございます(^^) 賛同して下さると嬉しいです。
聴く人に充実感を与える事ってきっと、テクニックなどを超えた部分での才能であるような
気がします。 ジャンルは違いますが筒美京平さんの音楽にもそう言った要素があるので、
ヒットを沢山出す事ができたのかも知れませんね。

「風立ちぬ」のボーカルのレコーディングについては色々な噂がありますよね。
私が知っていたのは、大瀧さんの指導が厳しくて聖子さんが泣かされたと言ったものでした。
アルバム「大瀧詠一ソングブック」に封入されたセルフライナーには、「風立ちぬ」では
ボーカルは全部で6テイク録り、聖子さんは見事にすべて歌い切った…としか書いていないので、
その「厳しい」部分は本人たちにしかわからないのが残念です(^^;)

で、大瀧さんが聖子さんの歌唱についてこだわったと言われる部分ですが、それが事実なら
私は ♪今は秋♪ の部分だと思います。
特に根拠はないのですが、この曲を初めて聴いた時に、その部分の「まー」「はー」が
非常に耳に残った事、いつもの聖子さんなら「ま」と「は」にも低めの音程から
しゃくり上げるように歌うと思われるのがそうはなっていない事などが、
私がそう思う理由です。 ま、これも本人たちにしかわからない事ですが…。

確かに、仰るようにキャンディーボイスでの歌い方は大瀧さんに似ている感じがしますね。
今まで気づきませんでした。 知らせて下さってありがとうございます!
「裸足の季節」や「青い珊瑚礁」などでの歌い方は、やはりその作曲をした
小田裕一郎さんの歌い方を真似したものと言われていますし、ユーミンも含め、
聖子さんの歌唱には色々な作家の要素が含まれていて奥深いものになっているんですね、きっと。

by ぽぽんた (2015-12-22 22:42) 

ヒガLIP

ぽぽんたさん、こんばんは!!

まさに!!目からウロコです!!
♪今は秋~のところ、「ま」と「は」がしゃくりあげない、上からフワッと包み込むような歌唱法になってますよねー。
本当に、これまでにない聖子さんの歌唱法です。それ以後はこのような歌い方をちょこちょこ感じますし・・・。

パワフルなボーカルを生かすしゃくりあげ歌唱法が初期聖子さんの特徴でもあったのでしょうが、それが、ぽぽんたさんのご指摘の箇所をはじめこの「風立ちぬ」ではしゃくりあげが抑えられている・・。
ぽぽんたさん、とても鋭い!
キャンディボイス化の一つの要因に、新しい歌唱法の取り入れもあるのでは、という気がしてまいりました。

大瀧先生は、聖子さんが小田先生から伝授されたしゃくりあげ歌唱法をもしかしたら嫌っていて(歌によっては、なのかもですが)、それでネチネチと厳しく指導して、最初はマスターに苦しんだ聖子さんが泣いてしまったのかもしれませんねー。ああ、想像は楽しいですね(笑)。

小田裕一郎先生の曲が、しゃくりあげ歌唱法が似合うような曲調であり、かつ実際のボーカリストへも伝授していく、というのは石川秀美さんの最初の4枚の小田プロデュースシングルででも体感できますよねー。石川さんはその後も、基本的なしゃくりあげ歌唱法をほとんど変えませんでしが・・。
by ヒガLIP (2015-12-24 13:27) 

ぽぽんた

ヒガLIPさん、こんにちは! お返事が遅くなり申し訳ありません。

ありがとうございます(^^) しかしあくまでも推測ですし、大瀧さんが「ここだけは…」と
指導したと言う事も裏が取れていないので、本当に推測でしかないですよね(^^;)
アルバム「風立ちぬ」は、B面がそれまでの従来の歌い方(声がかなりガラガラですが)、
A面がサウンド・歌い方ともに新境地が感じられる作り(「ガラスの入江」だけは
従来の歌い方に近いですが)と、一枚で二枚分楽しめる好盤なんですね。

大瀧作品「四月のラブレター」「Rock'n Roll Good-bye」が収録されたアルバム「Candy」では、
A面5曲目の「ブルージュの鐘」が初回プレスとそれ以降とで歌唱が全く違うのが
時々話題になりますね。
私は最初に初回プレス、即ち従来の発声で歌われたバージョンに親しんでいたので、
キャンディーボイス発声で歌い直した現行バージョンはどうも違和感ありありです。

小田裕一郎さんは、まず自分が歌って快適かどうかが良い作品の基準になるのかも
知れませんね。
聖子さんはまず大声量でデビューし、後に発声を変えたりした事で作品にも
バラエティが生まれたと思うので、そういう意味でも作家に恵まれたと言えそうですね。

by ぽぽんた (2015-12-27 14:36) 

ヒガLIP

ぽぽんたさん、お忙しいなかお返事ありがとうございまーす。
すみません、ぽぽんたさんとやりとりするのがとても楽しくて、ついダラダラと書いてしまい・・・しばしお付き合いのほどお許しを。

先日、Youtubeにて聖子さんの82年のコンサート模様を見ました。
声が絶好調のようで、もちろん「風立ちぬ」も完璧な歌唱でした。
聖子さんもきっと、この声でレコーディングしたかったでしょうね・・・。
ちなみに、コンサートの聖子さんは、どちらかというとキャンディボイスが控えめだった印象です。 全開モードでした(笑)。

ぽぽんたさんがどこかでコメントされてましたが、81年後半の聖子さんはひどく声が不安定でしたものね。僕も、そのうち声がまったく出なくなってしまうのでは、と僕もテレビを見るたびにハラハラしておりました・・・。
それがファンを釘付けにし、人気を持続させた要因の一つになったのも否定できませんよねー(笑)。

アルバム「風立ちぬ」や「Candy」については、一千一秒物語の記事のほうでコメさせてもらいますね!!
僕も、「ブルージュの鐘」のこと、気になってたので・・・


by ヒガLIP (2015-12-28 12:05) 

ぽぽんた

ヒガLIPさん、こんばんは! いえいえ、遠慮なさらないで下さい。 私も楽しんでますから(^^)

1981年の夏頃には、聖子さん自身も声が出ない事をとても気にしていましたし、
「ザ・ベストテン」ではわざわざデビュー当時に「スポットライト」のコーナーに登場した時の
映像を出して「やっぱり声が変わりましたよねぇ」と複雑な表情をしていましたっけ。

ただ「風立ちぬ」に関しては、悪いコンディションがかえってプラスに転じたような
歌唱と言えるかも知れません。 歌詞の持つ切なさが素直に表現されていますし、
大瀧さんも「当時のザラザラしていると言われていた声質がかえって効果を増している」
とコメントしていました。

私は聖子さんのキャリアの中では、1981年が最も魅力を感じるんです。
初頭にはまだ新人っぽさが残っていたのに、春から夏にかけて急に大人っぽくなり、
秋には風格も感じさせるようなイメージに…と、大きな変化があったからなんですね。

そして翌年には、髪型の変化もあってやや若返り、またファッショナブルになって…
と、最初の3年でこれほど変化を楽しませてくれた歌手はそうはいないと思います。

歌声に関しては、多少ガラガラでもメリハリのある歌い方が好きだったので、
そういう意味でも1981年の聖子さんは、私の中ではずっと最高のままです(^^)

by ぽぽんた (2015-12-30 00:26) 

White Autumn

ぽぽんたさんごぶさたしております。
インフルエンザで体調を崩されたり、お引越しで落ち着かなかったりのところ、古い記事へのコメントで失礼いたします。

来月(2016年3月)、大滝さんが生前レコーディングした提供作品のデモテープに基づくセルフカバーアルバムが発売されることになり、先週ラジオ番組で特集が組まれました。その中で松田聖子さんが「風立ちぬ」のアルバム制作についてコメントを寄せていました。大滝さんはこの件について詳しく語っておいでですが、聖子さん側からの証言は知る限りでは初めてで、とても貴重なものでした。

聖子さんのお話によれば
(1)まず大滝さんがピアノを弾いて歌い、それを聴いて覚える。
(2)大滝さんのピアノ伴奏で自分が歌う。
(3)レコーディング本番。
という手順でしたが、(2)で少しでもよくないところがあると大滝さんは即演奏を止めて、その場でメロディーを修正して、最初から覚え直させたそうです。それが幾度となく繰り返されたため、まだ若かった自分は「せっかくこれで覚えたのに、また最初からやり直すの?」とうんざりしたこともあったとお話していました。

聖子さんは、当時声の具合がかなり悪くなっていたことには言及されていませんでしたが、このエピソードから、大滝さんは聖子さんの歌唱法を根本から改めさせようという強い意志をお持ちだったことがうかがえます。
その背後には、デビュー以来の太く力任せの歌唱法をこれ以上続けていけば遅かれ早かれ喉がつぶれてしまい、歌手としての生命線を失いかねないという懸念があったものと思われます。

聖子さんを「はっぴいえんど人脈」に引き込んだのは松本隆さんで、デビューの頃声を聴いて「この人の詞は、ぼくが書くべきだ。」と直感したと語っておいでです。(一方、その頃松本さんは妹さんのご逝去に直面して、しばらく仕事を休んだため、青い珊瑚礁の頃はほとんど耳を傾ける余裕がなかったはずです。)
身辺落ち着いてきて、作詞の仕事を再開したら聖子さんの声が次第にざらついてきたことが心配で、自分にお鉢が回ってきたら大滝さんに預けてみようと考えたという推測も成り立ちます。

天才肌の聖子さんにとっては、これまでの歌い方を真っ向から否定されかねない事態は自我の危機でもあったでしょうし、その不安が生意気な態度として表に出たとしても不思議ではありません。しかしその時の苦労があったからこそ聖子さんは「キャンディ・ボイス」を確立して、その後の快進撃につながったことは間違いありません。

聖子さんがなかなか語らず、一方大滝さんは結構ひがみっぽいところがあって「あまり乗り気ではなかったみたいだ」と記したため、「松田聖子は大滝詠一が嫌いだった」的なうわさが後年拡大していき、その線に誘導するバラエティ番組まで制作されるまでエスカレートしたことは不幸な歩みだったと思われます。
ロング・バケイション以前からの大滝さんファン、ロックファンの間では、今でも聖子さんのことはあまりよく思われていないようです。

それでも私は言いたい。大滝さんとの出会いと歌唱法の根本からの変革がなければ、歌手松田聖子は若くして引退せざるを得なくなり、赤いスイートピーも、制服も、渚のバルコニーも、ガラスの林檎も、瞳はダイヤモンドも、瑠璃色の地球も存在しなかっただろう。今のお嬢さんも生まれていなかっただろう。そんな未来を、あなたたちは受け入れられますかと。


私事ですが、この曲のデモテープを持っています。来月発売のアルバムでは「風立ちぬ」はコンサートで披露したバージョンを収録する模様ですが、それではなく、井上鑑さんアレンジのストリングス及びシンガーズ・スリーのコーラスが加わる前のテイクです。

この段階でも既にたくさんの音が入っていて、完成バージョンと比べてほとんど遜色ありません。カスタネットの連打はまさにフラメンコ並みのテクニックです。また、アレンジが薄い分だけ大滝さん独特の歌い方がしっかりと聴こえてきます。大滝さんは

♪かぜたち ぬ↓
 いーまーはー あ き↓

のように、高い音では声を張り上げずに進め、言葉の最後の低い音をはっきりとわかるように落とす歌い方をしています。聖子さんにはこの技をマスターしてほしかったのでしょう。
大滝さんは、はっぴいえんどの頃はヨーデルのようなファルセット多用唱法でしたが、それでは喉に負担がかかってしまうことを経験的につかんでいて、初期ナイアガラでの試行錯誤を経て、ロンバケでようやく自分の歌い方を確立できたものと思われます。その歌い方は、山下達郎さんも「歌い手として永らえる」と評価していたといいます。

このコメントを書くにあたってオリジナルカラオケのCDも聴いてみたら、当時のテクノサウンドでよく使われていたシンセサイザーのピコピコ音が隠し味のように短く入れられていることに気がつきました。詞も曲も歌唱も、人のぬくもりが最大限に感じられるアナログ時代の最高峰楽曲にこのテクニックとは!出会ってから30年過ぎてもこれだけ感嘆が絶えない曲は滅多にありません。私にとっても生涯の宝物ですね。

by White Autumn (2016-02-22 14:02) 

ぽぽんた

White Autumnさん、こんばんは! お返事が遅れてしまい申し訳ありません。

詳しい解説をありがとうございます。 もう、私からは何も言う事がありません。
大瀧さんと聖子さんについてはこれまでも噂のレベルではいくつかの事を耳にして
いましたが、もし本当に良い関係でなかったなら、「風立ちぬ」の1年後に「CANDY」に
2曲収録される事もなかったと思うんです。 
大瀧さんのファンに限らないと思いますが、ファンは往々にして自分が讃えるアーティストと
関わった歌手などをよく事情も知らないのに断罪するところがあり(太田裕美さんが歌った
「さらばシベリア鉄道」について、譜割りが大瀧ver.と違うとファンが騒いだのを
「あれは自分がそう歌うように指導したんだ」とファンをたしなめるような発言をした
事がありましたね)、それは聖子さんについても言えるのでは、と思います。
私としては、松田聖子さんが大瀧詠一さんと組んであれほどの名曲が生まれた、
その事実だけで十分だと思っています。

ところで大瀧さんはギターを弾くのは知っていましたが、ピアノも弾いたのでしょうか?
どうもイメージが湧かないもので(^^;)

読み応えのあるコメントをありがとうございました! これからもよろしくお願い致します。

by ぽぽんた (2016-02-25 23:14) 

White Autumn

ぽぽんたさん

お忙しいところ目を通していただきありがとうございました。
そうです、聖子さんは「ピアノ」とおっしゃっていて、私もちょっと意外に感じて、それでさらに強く印象に残ったのですよ。

おそらくギターよりもチューニングがしっかりした楽器を使うことで、聖子さんの音域と音程を自分の耳できちんと確かめておきたいと考えていたのかしら?と思いました。それだけ大瀧さんもこの仕事には力を入れていたのでしょうね。
by White Autumn (2016-02-27 10:06) 

ぽぽんた

White Autumnさん、こんばんは! お返事が遅くなり申し訳ありません。

そうですね、大瀧さんほどの人ならばピアノも弾けて不思議はないですね。
これは私見ですが、当時の松田聖子さんのサウンドはギターよりもキーボード主体でしたし、
それが声質にも合っていた気がします。 大瀧さんもそのあたりを考えたのかも、
とふと思いました(^^)

by ぽぽんた (2016-03-01 00:06) 

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