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「夢スター春・秋」観覧レポート

先月26日、近くのコンサートホールで開催された「夢スター春・秋」を見に行きました。
以前「同窓会コンサート」というタイトルの時に観に行ったのが2014年8月29日。
その時もこのブログで記事にしましたが、西城秀樹さんがゲストとして出演したんですよね。
あれから早いもので、もう9年…。

ここからはネタバレになりますので、今後開催予定の「夢スター…」を観覧する予定の方は、
ご覧にならない方がいいかも知れません(予習に、という方はぜひご覧下さい)。

今回は一人2曲ずつ披露されました。 表にしましたのでどうぞ(一部順不同かも知れません)。
(サムネイル上をクリックすると別ウィンドウで大きく見られますので、それをご覧下さい):

夢コンサート-S.jpg

表をご覧になるとお分かりのように、今回は出演者は全部で16組。
第一部(春組)の後半では、このコンサートを主催している夢グループの石田社長、
そして歌手の保科有里さんが登場(通販番組でお馴染み…私はよく知りませんでしたが(^^;))、
デュエットを含め3曲披露されました。
ここでは保科有里さんの歌唱力にびっくりでした。

10分の休憩時間をはさんで、前半が「春」、後半が「秋」と分けられていました。
1組につき続けて2曲の持ち歌を披露しました。

第一部「春」の司会は元フォーリーブスのおりも政夫さん、
第二部「秋」の司会はやはり元フォーリーブスの江木俊夫さんが担当しました。

では、出演した歌手それぞれについて、憶えている事を書き連ねますね。

今の時代だと普通なのでしょうが、出演するのは歌手本人だけで、
伴奏は生演奏ではなく、録音されたカラオケです。
最近ではNHKのど自慢もカラオケを使用するようになった事ですし、仕方ないとも思いますが、
やはり昔のようにオケも歌も生で披露してくれる方がいいのに、と思います。
だってヘタしたら、歌の方も口パクかと疑われかねないじゃないですか。
しかし…とてもお金がかかりそうだから難しいのかな。

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まずは第一部(春組)。

トップバッターは平浩二さん。
緑色でピカピカの派手な衣装で、これまた唯一の大ヒット曲「バス・ストップ」を
オリジナルカラオケをバックに歌いました。
大きな病気をしたとの事ですが、キーは変えず、声も歌い方も昔とは殆ど変わっていません。
こういう(どういう?)タイプの方は年を取りにくいのかな、などと思ったりしました。
2曲目は最も新しい曲「愛する君にありがとう」が選ばれていました。

狩人の高道さん、お兄さんの久仁彦(邦彦)さんは今どうしているのでしょう?
テレビ出演などでも、今では大抵高道さんだけですよね。
ウチもそうだったけど、男の二人兄弟って仲が悪い事が多いので…だからかな?
今回はお定まりの「あずさ2号」だけでなく、次の「コスモス街道」も歌ってくれました。
ハモリも聞こえたけど、それが邦彦さんの声かどうかはよくわかりません。
関係ないですが、高道さんはデビュー前、桜田淳子さんの大ファンだったって知ってます?

ロザンナさんは、高道さんをヒデさんに見立てて大ヒットを2曲続けて歌いました。
「愛の奇跡」はテレビなどでよく披露されますが、ヒデとロザンナで最もヒットした
「愛は傷つきやすく」が歌われるのは珍しいのではないでしょうか。
ロザンナさん自身は少し疲れが出ている感じで声が頼りなかったのですが、
高道さんがうまくフォローしていました。
心なしか、ロザンナさんは歌よりも、「愛の奇跡」の途中のセリフ「アモーレ…」の時の方が
よく声が出ていた気がする(^^;)

桑江知子さんはデビュー曲「私のハートはストップモーション」だけがヒットしたので、
2曲目は最新曲だったようです。
デビュー当時の桑江知子さんってわりとツンとして無愛想な感じでしたよね。
今はすっかり親しみやすいキャラクターになっていて、逆に物足りなさを覚えたりして(^^;)
歌い方もすっかり変わり歌い上げるタイプとなり、新人当時とは別人のようです。
カラオケの方は明らかにオリジナルカラオケ音源でした。

石井明美さんは「CHA-CHA-CHA」の大ヒットが1986年ですから、
他のメンバーよりキャリアとしては10年ほど新しい方にシフトしている感じですね。
やはり声が通りますし、ダンスも切れがよく、何より若い。
若すぎて「まだここには早いんじゃない?」と思ってしまいましたし、
あのメンバーの中だとそのために居心地が悪かったのでは、などと余計な心配をしました(^^;)

第一部の締めくくりは、春組司会のおりも政夫さん。
おりも政夫さんは元フォーリーブスですが、1曲目はなぜか坂本九さんのヒット曲
「見上げてごらん夜の星を」でした。
続けてこれこそフォーリーブスのヒット曲「地球はひとつ」で、春組が全員登場し、
ちょっとした手話の講義の後、春組と観客との共演のような形で歌われました。
「地球はひとつ」はイントロで「僕から逃げようったって駄目だよ…」とセリフが入ります。
レコードではそこは江木俊夫さんの声なのですが、「秋」の方の司会だったからか不参加。
それが残念でした。

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ここから第二部(秋組)です。

あいざき進也さんは定番の「気になる17才」に続けて「恋のリクエスト」を歌唱。
オケのキーは昔のままで声もよく出ていましたが、やはりサビでの最高音は
全くと言っていいほど出ていなかったのが残念…。
声質は若い頃と殆ど変わりないんですけどね。
「恋のリクエスト」はテレビなどでは殆ど披露されない曲ですよね。

三善英史さんはここ数年でイメージ的に変な色が付いてしまって心配でしたが、
歌声は、というより声質が全く昔と変わっていないのは驚くほどでした。
この人はこういう声質だったのか、自分はそれを自然に受け入れて聴いていたのか、
プロの歌手ってそれぞれ独特のものを持っているからプロなんだな…などと、
いつもは全く考えないような事を思いながら聴かせてもらいました。
今でも「雨」は、私の中では全歌謡曲でベスト・ワンです。

大野真澄さんは、ガロのメンバーで唯一人になってしまいましたね。
どうしてもガロと言えば「学生街の喫茶店」とペアで覚えている人が大半と思いますし、
私も大野真澄さんの声はやはり、その曲と強くむすびついています。
声質は全くと言って良いほど変わっていないですし、声量はむしろ今の方があるのでは?
今はマークがいないので、「学生街…」のサビではコーラスの最高音を歌っていました。
2曲目はなんと!1976年にあおい輝彦さんが大ヒットさせた「あなただけを」を、
作者の大野真澄さん自身が歌いました。 私にとっては大きなプレゼントです(^^)

あべ静江さんは昨年脳梗塞を患い、それを乗り越えて復帰したんですね。
今回は「みずいろの手紙」だけでなく、デビュー曲の「コーヒーショップで」も聴けました。
明らかにオリジナルカラオケが使われていました。
歌声はデビュー当時に戻ったような感じ。 というのは、あべ静江さんの歌い方って、
デビュー後数年経つと声がクリーンでなくなってきて、ややアクの強い声に変わったんです。
私はそれが嫌だったのですが、今回の歌声は力みが取れて、クリーンさが戻った感じで。
個人的な事で恐縮ですが、私の亡くなった兄があべ静江さんのデビュー当時に大ファンで、
テレビに出演していると「しーちゃん、しーちゃん!」と喜んでいたんです。
兄は当時、少しやんちゃな高校1年でした。
それを思い出して、そんなデビュー当時に戻ったような歌声を聴いているうちに
ウルウルしてしまいました…。

西口久美子さんもこのようなコンサートには常連ですね。
現在闘病中との事で、え?体力は大丈夫なの?と思わず心配してしまいましたが、
ステージでの動きはそれを全く感じさせない、元気そのものでした。
ただ声にはかなり影響があるようで、いつもの腹式呼吸的な発声ではなく、
デビュー当時のようなノド声だったのですが、それでかえってオリジナルの歌唱に近づき、
私はとても好感を持てました。
2曲目は「太陽がくれた季節」のB面「青春の旅」で、この曲も「飛び出せ!青春」
を観ていた人はよく知っていますよね。

ザ・リリーズ。 歌よりも「双子のリリーズ」なるキャラクターが浸透している、
芸能界でも稀有な存在ですね。
妹の真由美さんが今年1月、脳腫瘍で亡くなりました。
なので今回は奈緒美さん一人での出演でしたが、奈緒美さんは「私の中に真由美がいるから
今日もザ・リリーズとして歌います」とコメントし、歌に移りました。
曲は当然のように「好きよキャプテン」。 オケにもう一人分の声が入っていていましたが、
声が真由美さんなのか、はたまた奈緒美さんなのかはわかりません。
もう1曲は5枚目のシングル「恋に木枯し」で、私はこの曲は知りませんでしたが、
ファンが聴いたら大喜びだったのではないでしょうか。

伊藤咲子さんは、今回の女性の出演者の中では別格と言って良いほど、
声質も声量も安定感も抜群でした。
高音域がB♭よりも上になると地声ではなくファルセットになるのが少し残念でしたが、
これほど声が変わらない人も珍しいなー…と思いながら聴き入りました。
「乙女のワルツ」は色々な歌手にカバーされている名曲ですね。
個人的には「きみ可愛いね」が聴きたかったかな(^^;)

晃さんは歌が上手くなったなー!と生意気にも凄く感心しました。
以前はフィンガー5のヒット曲を歌っていても迫力が感じられず、
どうしてもデビュー当時の影を追うだけで終始していたのですが、
今回のこの歌唱はどこか吹っ切れたような、子供の頃とは違うこの声で
この曲を最大限に聴かせる!と言った気迫を感じさせるものでした。
私と同い年という事もありどうしても肩入れしてしまうのですが、
良い曲に恵まれればまたヒットを出せるような予感を覚えました。

尾藤イサオさんはこの秋に80歳!それが信じられないほど、本当に若い。
歌声は若い頃と変わらない、むしろ声量が増しているのではと思うほどで、
「あしたのジョー」、続けて「悲しき願い」と代表曲を続けて歌ったのですが、
歌いながら実によく動く。 ステージ狭しとはこの事だと言わんばかりです。
尾藤イサオさんの声が持つ力強さと切なさ、そのバランスの素晴らしさを堪能しました。

そしてオーラス、秋組司会の江木俊夫さん。 
我々の年代だと、フォーリーブス以前に「マグマ大使」(実写版)のマモル役を
思い出す人が多いのではないかな。
今回はおりも政夫さんに続きフォーリーブスのヒット曲が2曲歌われました。
あいざき進也さんと晃さんをメンバーに見立てて「踊り子」と「ブルドッグ」。
「ブルドッグ」では例のなわとびのような金色のロープを使って振り付けまで再現していました。
その即席メンバー二人の振り付け(というかアクション)はキレが良く凄くカッコよかった!
秋組の他の全歌手全員も登場し、フリをつけながら一緒に歌っていたのですが、
大野真澄さんはどうもそのような演出が苦手なようで、控えめに、恥ずかしそうにしていたのが
印象的でした。

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会場は観客が1500人ほど収容できる規模のホールだったのですが、
平日と言うのにほぼ満席。
ま、年齢層はかなーり高いですが、それは当然ですね(^^)
声援などもかなり多くて、みんな楽しんでるな!という雰囲気でした。
開演は午後6時、終演は午後8時50分でした。
途中10分間の休憩がありましたが、3時間弱の公演、
それもその日2回目とは、かなりハードだったと思われます。
アンコールはありませんでしたが、最後まで楽しめる良いコンサートでした。

終演後、ロビーで出演歌手が参加して即売会をしていました。
私は急いでいたので、少しだけ見て回ってすぐに会場を後にしたのですが、
昔はテレビでしか観られなかったあの歌手、この歌手が、
こうして目の前にいるのが何とも不思議な感覚でした。

私自身も含め、もう高齢と言われる年代に入ってきた人ばかりですから、
この次に見よう、あるいは会おうとしても叶わない人がこの中にもいるだろう。
だからしっかり思い出に残しておこう!とづくづく思いました。

それにしても、こと音楽に関しては自分は本当にいい時に生まれ、
いい時代を過ごしてきた…と、感謝です。

(8月7日 編集)

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50年前のベスト10 & 恋する夏の日part2

暑い。 暑すぎる夏ですね。
私はこの季節になると頭の中で何度もかけてしまう曲が「恋する夏の日」。
天地真理さんがオリコンで1位を獲得した最後のこの曲が発売されて、今年はちょうど50年。
そう、50年前の今頃は日本中でこの曲が流れていたものでした。

このブログでも過去に一度この曲について書かせて頂きましたが、
私にとって一際愛着の強いこの曲について、50周年記念と言うことでもう一度振り返ってみようかと。

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まず、50年前、1973年8月13日付けのオリコンシングルチャートのトップ10です:

1位 恋する夏の日 …天地真理
2位 わたしの彼は左きき …麻丘めぐみ
3位 心の旅 …チューリップ
4位 裸のビーナス …郷ひろみ
5位 君が美しすぎて …野口五郎
6位 イエスタデイ・ワンス・モア …カーペンターズ
7位 てんとう虫のサンバ …チェリッシュ
8位 他人の関係 …金井克子
9位 君の誕生日 …ガロ
10位 ひとりっ子甘えっ子 …浅田美代子

そして参考までに、同じ時期のFM東京歌謡ベスト10(8月11日放送)は:

1位 恋する夏の日 …天地真理
2位 他人の関係 …金井克子
3位 君の誕生日 …ガロ
4位 恋にゆれて …小柳ルミ子
5位 紙風船 …赤い鳥
6位 情熱の嵐 …西城秀樹
7位 コーヒーショップで …あべ静江
8位 心の旅 …チューリップ
9位 避暑地の恋 …チェリッシュ
10位 わたしの彼は左きき …麻丘めぐみ

オリコンの集計とラジオへのリクエストでは少々時間差があるようですが(半月近く?)、
それを考慮してもラジオには独自のランキングが感じられて面白いものです。
きっとレコードを買いたいけどお小遣いが足りないからラジオにリクエストする…とか、
レコードを買うほどではないのだけど聴いてみたいからリクエスト…って感じだったのかな。

しかしその両方とも、1位は同じ「恋する夏の日」だったんですね。
天地真理さんは、アイドル歌手と言われる中でもアルバムの売り上げが突出して良かったのですが、
それは楽曲と歌に大衆、特に若い年齢層に「もっと聴きたい」と思わせる魅力があったから、
と私は思っています。
また、レコードを買って持っているけど、ラジオでも流れるとやっぱり嬉しい!
と言った心理も、当時の自分を振り返っても確かにあった気がします。

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♪アナターを待つの テニスコート…♪
この4小節のパワーは凄まじいものがありましたね。
「天地真理の真似をして」と言われると、迷わずこのフレーズを歌い出す人の何と多いこと。
その約半年前にヒットした「ひなげしの花」(アグネス・チャン)の歌い出しにも似ていますが、
これはその両方を作曲した森田公一氏の作戦だったのでしょうか。

天地真理さんのヒット曲(1974年までに限らせて頂きますね)って、
いわゆる「頭サビ」の曲が無いんです。

「頭サビ」とは、例えば「ペッパー警部」(ピンク・レディー)のように、
サビと言われるフレーズを最初に持ってきて、次にAメロ、Bメロ…とつながる曲の構成の事です。

しかし天地真理さんは、サビとは違うのだけど歌い出しにインパクトのある曲がいくつかあって、
「水色の恋」「若葉のささやき」「恋人たちの港」、そして「続・恋する夏の日」とも言える
「恋と海とTシャツと」あたりはそうですよね。

そして、歌い出しが高い音から始まる曲が少なくて、その数少ない曲が
「恋する夏の日」と「恋と海とTシャツと」なんです。

「サビ」とは曲の中で盛り上がる部分という意味が一般的だと思うのですが、
最もインパクトのある所、あるいは象徴する部分こそがサビとするならば、
「恋する夏の日」「恋人たちの港」「恋と海とTシャツと」、ついでに「ひなげしの花」などは、
歌い出しこそがサビと思って良いのかも知れません。

メロディーはもうコマーシャルそのものと言った感じで、
キャッチーなフレーズがいくつもあり、その殆どが1コーラス中で反復使用されているものだから、
初めて聴く人でも一度で憶えてしまうのでは、と思えるほどです。
特に ♪木立ちの中のこる白い…♪ などで使われている レソソソラソ レソソソラド
のメロディーは、マリンバの音色と共にガッチリ頭に残りますね(^^)

かと思うとBメロの ♪愛することを はじめて知った♪ では、
ピチカート奏法のストリングス+マリンバと歌メロとで対位法の作りとなっている…と、
クラシックを基本とする作曲家、編曲家である事が垣間見えたりします。

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実は私は近年知った事なのですが、
「恋する夏の日」のオケの、イントロから印象的な音で入って来るディストーションのかかった
エレキギターは、著名なスタジオミュージシャンである矢島賢さんの演奏だったんですね。

矢島賢さんの演奏で有名なのは「少女A」(中森明菜)、「傷だらけのローラ」(西城秀樹)、
「プレイバック Part2」(山口百恵)などなど、本当に多数です。

矢島賢さんは1973年あたりですでに「男の子女の子」「小さな体験」「裸のビーナス」(郷ひろみ)や
「傷つく世代」(南沙織)などの、主に筒美京平作品で多くの演奏を残しているのですが、
「恋する夏の日」などの馬飼野俊一編曲作品でも演奏していたとは意外に思いました。
それは、実弟の馬飼野康二氏がロックっぽく先進的でアグレッシブな作風が多いのに対し、
俊一氏の作品はジャズがベースの、歌謡曲の王道のような音作りが多い印象があったからです。

因みにですが、
「恋する夏の日」の音源(CDかカセット、あるいはサブスク・配信)を聴いていると、
そのエレキギターの定位が、イントロでは右、Bメロ(♪今年の夏 忘れない…♪)の手前では中央、
そして2コーラス目が終わってハーフに入る直前ではまた右に戻っているんです。
意外と気づきにくいでしょ?
それはオリジナルカラオケでも同じです。

この曲のシングルレコードは、SQ4チャンネルでミックスされています。
CDやカセットではそれを2チャンネルにしているわけですが(多分、左の前後、右の前後を
単純にミックスしているだけでしょう)、
当時は4チャンネル効果のデモンストレーションとして、そのようにエレキギターの定位を動かし
(どのように動かしているかは検証していないのでわかりませんが)、
それが2チャンネルステレオでは上記のような定位の移動に聞こえるのだろうと思います。

…と知ったような事を書きましたが、念のため後日レコードをもう一度引っ張り出して聴いてみて、
違っていたら追記しますね。*1


この50年間、私もこの曲をきっと何百回となく聴いているので慣れてしまっているのですが、
改めて聴き返すと、きっと当時はとても新鮮なサウンドに聞こえただろうな、と思うんです。

Aメロではマリンバと同時に、同じようにピアノもトレモロで演奏されているんですね。
追い立てるような、その先の展開が楽しみになる演出を感じます。
そしてリズムがブレークして♪木立ちの中のこる白い朝もや♪で歌メロをマリンバが単音でフォロー。
マリンバが歌にユニゾンと言うパターンは非常に珍しい。

そしてトランペット、トロンボーンによると思われるホーンセクション。
天地真理さんのヒット曲でホーン隊が活躍する曲は、「恋する夏の日」までは少なくて、
「ひとりじゃないの」でミュートをつけたトランペット、
「ふたりの日曜日」でエコーをつけたトランペット、そのくらいでした。
なので、「恋する夏の日」での派手なホーンサウンドは異例に近いものでした。

リズムセクションとベースの動きが派手めで、特にBメロではツイストでも踊らせたいのか!?
と思わせるような楽しい演奏です。

EQでかなり音を加工したと思われるストリングスは駆け上がりやピチカート奏法が多用され、
またかなり高い音域まで使われて空間の広がりまで感じさせます。

そしてやはり天地真理さんのボーカル。
声にまとわりつくような、恐らく150ms前後のリピートなしのフィードバックエコーで、
何ともムンムンした夏の空気を思わせるんですね…って、これは前にも書いた気が(^^;)
声を伸ばす時に、ビブラートがかかるとややフラット気味(音程が微妙に低くなる)のが、
この時期の天地真理さんの特徴かな(もしかして、多忙で疲れていた?)。

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「ひとりじゃないの」「恋する夏の日」「恋と海とTシャツと」と、夏ソングは3年続けてA♭、
「若葉のささやき」「想い出のセレナーデ」の春秋ソングはそれぞれB♭mとE♭m。
冬ソングの「木枯らしの舗道」もB♭mと、天地真理さんの曲は難しいキーであるものが多いのですが、
コード進行そのものはシンプルなものばかりです。

例えば「恋する夏の日」も、C調に書き換えると
Aメロが C→Am→G7→C… 
Bメロが F→C→Dm→G7…

「想い出のセレナーデ」は短調なので、Am調に書き換えると
Aメロが Am→Em→F→Am F→G→F→E7…
Bメロが Dm→Am→Dm→Am Dm→G7→C→Am Dm→E7…

と言った感じで、それこそフォークソングでよく使われるような平易なコード進行なのですが、
天地真理さんの楽曲が広く親しまれたのは、そのあたりにも一因がありそうです。
その分、編曲にほどほどに趣向を凝らして新鮮味を付加する事で、
レコードの売り上げを大きくしたのではないでしょうか。

しかしやはり、天地真理さん自身の魅力が人気の最大理由ですね、きっと。

そんな50年前を思い出しながら、今日もこの曲を部屋で流す私です。

恋する夏の日2.jpg

「ゴールデン☆ベスト」(2013年版)のブックレットに載っている真理さんへのインタビューで、
一度完成した「恋する夏の日」を聴いた渡辺晋社長が「作り直せ!」と言い出したので、
別のスタジオでレコーディングし直した…とあり、ならば我々が知っている音源は録り直ししたもの、と言う事ですよね。
最初のバージョンは残っているのかな? ぜひ聴いてみたいですね!


「恋する夏の日」
作詞 : 山上路夫
作曲 : 森田公一
編曲 : 馬飼野俊一
レーベル : CBSソニー
レコード番号 : SOLB45
初発売 : 1973年(昭和48年)7月1日


*1 追記(2023/8/21)

レコードを引っ張り出して聴いてみました:
レコード01.jpg

音(ミックス)はCDに収められた音源と同じで、よってエレキギターの定位も
右→中央→右 と遷移していました。

久しぶりにレコードで聴いてみてちょっとびっくりしたことが2点。
一つは、針を落として演奏が始まる前にプリエコー(レコードに刻む音が入ったテープは重なって
巻かれているために転写が起こり、イントロがうっすらと聞こえる現象)がごく短い時間ながら
かなりハッキリ認められること。
もう一つは、最後の ♪消えないでねどうかずっと♪ の「き」と同時にクリックノイズのような音が
聞こえること。
プリエコーは同じレコードを持っている人ならばどなたでも確認できると思いますが、
ノイズの方は自分のレコード特有の可能性が高いです。

きれいにまとまったCDの音は素晴らしいですが、こうやってレコードで聴いてみるとどこか、
CDにはない生々しさが感じられるのがとても楽しいです(^^)

以上、レコード試聴報告でした。

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