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悪魔がにくい / 平田隆夫とセルスターズ

今回は純粋に曲解説です…何ヶ月ぶりだろう(^^;)

悪魔がにくいジャケ.jpg

作曲家・遠藤実さんが設立したレコード会社、ミノルフォンレコードから
1971年8月に発売された「悪魔がにくい」。
その直後あたりから、私の記憶では頻繁にテレビから流れて来ていました。
しかしそんなにヒットしているとは思えなくて、気づくと「ハチのムサシは死んだのさ」が
同じグループの歌で流れるようになって…と言う感じに、私には思えていました。
なので何年か経ってチャート関係の本を見た時に「悪魔がにくい」が1972年1月に首位になり、
「ハチのムサシ…」よりも売上枚数が多かったと知って驚いたものです。

多分、私は「悪魔がにくい」があまり好きでなかったために関心が薄かったのかな、
と今となっては思います。
その理由は、歌詞。
主人公の男の相手に新しい男が出来て振られそうになっている、と言うものですよね。
当時、私は小学4年生。
「ボクは歌詞なんてどうでもいい、曲が聴きたいんだ!」と言ってはみても、
そろそろ歌詞の意味がわかり始める年ごろです。

今で言うと昭和の価値観なのでしょうが、
甘えを想起させる言葉が前面に出ている曲を耳にすると、拒否反応が起きていた気がする。
同じ理由で、奥村チヨさんの「恋シリーズ」なども大嫌いでした。
今では大好きですけど(^^;)

こんな女々しい歌詞(言葉が悪くてすみません)の曲が大ヒットしたのは
「悪魔がにくい」が初めてではないかな。
それは確かに、時代の移り変わりが反映していたのでしょう。

しばらくいわゆる任侠物が幅を利かせていた事でもわかるように、
男は男らしく、女は女らしく…と、
ごく当たり前の事がやや行き過ぎて強迫観念まで生み出すレベルになっていた。
それがやがて飽和し皆がウンザリしていたタイミングで「悪魔がにくい」が登場し、
ここまで開けっ広げなまでに女々しい歌詞が新鮮に感じられた
…と言ったところではないでしょうか。

そんな歌詞を女性2人+男性一人で歌う。
かなりアグレッシブな試みだったに違いありません。


さてさて、平田隆夫とセルスターズ。
いきなりですが、「セルスター」ってどういう意味なのか、知ってます?
CDの表記を見ると「Sellster」らしいのですが、それ、ググっても意味不明なんです。
グループ名にするくらいなのできっと意味や由来があると思うのですが…
ご存知の方、おられたらぜひ教えて下さい。

男性4人、女性2人のグループとしてのデビューでした。
どうしても女性2人が華やかに見えてしまって、男性群が印象に残らないのは残念です。
みみんあいさん。 インディアンのようなおさげ髪とトンボめがねが、
当時の私のような小学生にはいち早く印象に残ったものです。
もう一人の女性は村部レミさん。
みみんあいさんが明るく見える分、レミさんは大人っぽく落ち着いた印象でした。

男性陣の一人、菊谷英二さん。
ギターとボーカルを担当していました。
「悪魔…」「ハチのムサシ…」では女性の主旋律に合わせオクターブユニゾンしていて、
当時の私は「うーん、この声はいらないな」と、今となるとひどい事を思っていました。
グループのリーダーだった平田隆夫さんもですが、現在では故人となっています。

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「悪魔がにくい」について書こうと思ってYouTubeを調べていて、
初めて初回バージョンがあったのを知りました。
こういう時、ネット・YouTubeってホント、ありがたいです(^^)

で「初めて」初回バージョンを聴いてみて思った事…
これは面白い! 初回と言うよりもデモバージョンみたいだな。

音作りが凝っていて、オケはバックに薄めに流れていて、
ボーカルが前面に出されています。
それも、中央に菊谷英二さん、その左右の脇に女性が一人ずつ(多分左がみみんあいさんかな)
配置されているんですね。
でもなぜ「チュチュチュール…」の部分だけエコーが、それも間奏ではその途中から
エコーがかかっているのだろうか… それがデモに聞こえる理由でもあります。

しかしどの音にも主張が感じられて、これはこれで楽しめるなー、と言う印象です。
ただ商品として、特にミックスのバランスは完成度が低いと言わざるを得ず、
そのために再レコーディングされたのでしょう。
それで無難な音になりましたが…初回ver.を知ってしまうと、
面白みがかなり削がれてしまったんだなぁ、と言う気はします。


曲全体はラテン音楽をロックのリズムでサウンド化しているイメージで、
ストリングスやホーン、チェンバロの導入の仕方に当時流行していたバカラックの影響を、
また全体のスケール感には「アクエリアス」(フィフス・ディメンション)の影響も感じます。
女性2人、男性一人のリードボーカルは、楽曲内での扱い方が対等であるのが意外と珍しく、
当時はそれも新鮮に聞こえていたと思います。

Bメロ(♪僕には何故かわからない……♪)の途中からバックコーラスが入って来たり、
♪おまえの胸に忍び込んだ…♪ の ♪込んだ…♪ でハモったりするのが
何だかとてもドラマティックで、今聴いてもゾクゾクしてしまいます。

ハモリと言えば、♪…おまえが欲ーしいー♪ でしっかり Bsus4→B7 を
コーラスで打ち出しているのもカッコいいですね(^^)

2番目、ハーフと終わりエンディングにはそれまで一度も出て来なかったメロディーで
♪ウーウウウウー…♪ と締めくくられるのもなかなか無いパターンですね。
その時に演奏されているチェンバロがなぜだか私には和風に聞こえてしまう…不思議。

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さて、チュルチュル。
なぜ、チュルチュル?
思いついたのは平田さんかな?
インパクト、ありましたね。

チュルチュルの変化形が、トゥルトゥル。
有名なのが寺尾聰さんの「ルビーの指環」「シャドー・シティ」かな。

あ、チュルチュルは他にもありました。
山本リンダさんの「きりきり舞い」!

他にもご存知の方、教えて下さいm(_ _)m


「悪魔がにくい」
作詞 : 平田隆夫
作曲 : 平田隆夫
編曲 : 土持城夫
レーベル : Dan(ミノルフォンレコード)
レコード番号 : VA-1
初発売 : 1971年(昭和46年)8月10日
オリコン最高位 : 1位(1972年1月10日~2月7日、5週連続)

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