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幸せな結末 / 大滝詠一

短冊型のCDシングルの新品を買うとは全く予想していなかったな(^o^;)
この曲は私の、カラオケに行った時の定番の一つです:

幸せな結末.jpg
(このサムネイルをクリックすると大きな画像が開きます)

大滝詠一さんの結果的に最後のシングルとなった「幸せな結末」は1997年11月に発売され、
オリコンシングルチャートで2位に初登場(最高位)し、約97万枚を売り上げる大ヒットとなりました。
この時代のヒットシングルは殆ど、いや全部と言って良いほどCMかドラマとのタイアップで、
「幸せな結末」も「ラブ・ジェネレーション」(フジテレビ、木村拓哉・松たか子主演)の
主題歌として制作され、シングルとして発売されたものでした。

今月7日(2023年7月7日)が「短冊CDの日」だそうで、それに合わせて今回、
「幸せな結末」のシングルが再発売になりました。
8cmCD(=短冊CD)からマキシシングル(通常のCDと同じ直径12cm)に取って代わってから
23年以上経つのに、今も8cmCDって製造できるんだ!と私はまず、そこに驚きました。

そして今回のそのシングルには、オリジナルカラオケが追加されています。
「幸せな結末」とカプリング曲「Happy Endで始めよう」のオリジナルカラオケは、
大滝詠一さんが亡くなった翌年の暮(2014年12月)に発売されたベスト盤「BEST ALWAYS」の
初回限定盤(3枚組)に収録されていましたが、
今回シングルに初収録、さらに音源も最新マスタリングが施された上での発売となりました。

私は「BEST ALWAYS」は買わなかったのですが、「幸せな結末」のオリジナルカラオケは
ずっと欲しかったので、シングル再発を知ってすぐ購入しました。

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大滝詠一さんの楽曲やサウンドについてはもう、かなりの数のマニアがおられるようなので
ヘタなことを書いたらたちまち突っ込まれそうで怖いのですが、
「幸せな結末」のアレンジやサウンドは明らかにあの「A LONG VACATION」(=「ロンバケ」)
を踏襲しているのが一聴してわかりますね。
ん、「EACH TIME」じゃなくて「ロンバケ」、ね。

編曲:井上鑑 となっていますが、筒美京平氏が他の編曲家を使う時も殆ど自身の指示であった
ように、この曲でも殆ど大滝詠一氏の指示通りに井上鑑氏がアレンジを書いたのではないかな。
Aメロ後半に出てくるピアノや全体的なカスタネットの使い方はもろ「恋するカレン」ですし。

大滝詠一さんの楽曲の大きな特徴に転調がありますが、
「幸せな結末」では最後のコーラスで半音上がるだけで、
「Velvet Motel」や「カナリア諸島にて」、はたまた「ガラスの入江」(松田聖子)のような
Bメロで2転3転するような転調は使われていません。

ただ、コード進行でとても耳に残る箇所があるんですね。
Aメロ等に出てくる ♪今夜君は僕のもの~♪ がそれです。(キーはF)

通常だと Gm7→Am7→B♭→F、あるいは Gm7→Am7→B♭m6→F と素直に進行させるものが、
     Gm7→Am7→B♭dim→F とディミニッシュを使っているのが、珍しいパターンです。
ちょっと曖昧でモヤモヤ感が残る響きで、私が知る範囲ではこのようなコード進行はこの曲が唯一です。

大滝氏の作品でこのようにちょろっと変わったコードを持ってくることは他の曲でもあって、
例えば「風立ちぬ」(松田聖子、キーはB♭)のAメロ♪涙顔 見せたくなくて…♪
でのコード進行が B♭→Faug→B♭M7… と、普通だとF7を入れるところに
Faug(オーギュメント…構成音はF・A・C#)を使い、独特の響きを得ています。
そういったコードの選択は、やはり大滝氏の膨大な音楽データの積み重ねから得られたセンス、
それがすべてと思われます。

オリジナルカラオケを聴いていてふと気づいたことがありまして。

大滝詠一氏作の楽曲では、歌メロを間奏に流用する時に、
ギターのような音の立ち上がりが速い楽器よりも、
ストリングスやハモンドオルガン、木管のような立ち上がりの穏やかな持続音を使う場合が多い。
「幸せな結末」「恋するカレン」「カナリア諸島にて」「Velvet Motel」「風立ちぬ」
「四月のラブレター」「ガラスの入江」などなど、私が愛聴している楽曲(松田聖子ばかり!)
ではことごとくそうでした(^^)
「フィヨルドの少女」などは例外ですが…。

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それにしても大滝詠一さんのボーカルはいいですねー。
大多数の男性にとって声の音色がハッキリ出る音域を実に効果的に生かしていて、聴きやすい。
そのところ、ハイトーン過ぎて個性がどこかに行ってしまっているボーカルにはない魅力ですね。

大滝詠一さんも、自身へのインタビューによるとハイCまで出るとのことですが、
もしあの「君は天然色」のサビがオリジナルのキー通りにEになっていたら、
金切り声のような、切羽詰まったような歌声になっていたことでしょう。
…あ、その曲のサビ部分のオケが歌入れの前にハーモナイザー(=ピッチチェンジャー。
ハーモナイザーはアメリカの機器メーカーEVENTIDEの商品名)で全音下げられていた(E→D)
ことはよく知られていますよね。

「幸せな結末」はキーがF(最終コーラスではF#)。
歌メロの最低音はC、最高音はその1オクターブ上のEで、
やはり大多数の男性にとって最も歌いやすい音域と言えます。

また技巧的な此れ見よがしがなく(山下達郎さんの歌ってそれをやや感じてしまう…私だけ?)、
歌詞が大変聞き取りやすく、鼻濁音も明瞭です。
このようなボーカリストが大滝さん以外に殆どいないのは、なぜでしょうか。

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このシングル、最新マスタリングとのことで音質も向上しているかなーと期待したのですが、
うーん、それほどには良くはなっていない気がします。
全体のまとまりはいいのですが、肝心なストリングスの音色が…。
「ロンバケ」のような伸びが感じられなくて、音の動きが不明瞭に感じます。
全体の音数はさほど多くはないのに、各々の楽器の分離が今ひとつに思います。
それはマスタリングではなく元々のミックスによるものと思いますが…。
通して聴いた音質も、高域・低域ともにやや寸詰まりかな…。
しかしまた別の再生装置で聴くと、また感想は変わるかも知れません。

作詞の多幸福(おおのこうふく)って、大滝詠一さん自身のことですよね?
このシングルはカプリング曲を含め、一貫して「幸せ」でできているんですね(^^)

ところで大滝詠一さんの音楽って、シティ・ポップですか?
もしご本人にそれを伺ったら「いやいや、正統なポップスだよ」と言われる気がします(^^)


「幸せな結末」
作詞 : 多幸福
作曲 : 大滝詠一
編曲 : 井上鑑
レーベル : ナイアガラ(ソニーレコード)
CD番号 : SRDL4747
発売日 : 2023年7月7日

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nuko222

ぽぽんたさん、こんばんは。

毎日暑いですね。当方は毎朝アクエリアス2杯飲んで一日が始まります。
今回の「幸せな結末」は以前同じくCDシングル(8センチ)で発売されていましたね。その時の品番はSRDL-4500
旧譜を当方も所有していたと思うのですが、ちょっと探しましたが見つからず。再発売のものと聞き比べしてみたいものです。

PS:DM有難うございます。返信していますが届かない状態という
自動メッセージが来ております。(すでに3通送って)
こちらの問題かもしれませんが、ぽぽんたさんの使用しているメール側もご確認頂きたく、失礼ながらこちらに書き込みました。
by nuko222 (2023-08-04 21:32) 

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