SSブログ

風は秋色 / 松田聖子

聖子、怒涛の快進撃はこの曲から(^^)

風は秋色.jpg

チャートアクション等

「風は秋色」は松田聖子さんの3枚目のシングルとして1980年10月に発売され、
オリコン最高1位(同年10月13日~11月10日付)、同100位内に20週ランクされ、
79.6万枚の売り上げを記録する大ヒットとなりました。

前作「青い珊瑚礁」からの人気上昇ぶりは凄まじいものがあり、
私が記憶する限りでは、最も短期間に知名度が上がった歌手だと思います。

この「風は秋色」は、楽曲の出来云々よりもその人気上昇の勢いを受けての大ヒット、
それも初登場での1位となったものと言えるでしょう。

デビュー曲「裸足の季節」に続いて洗顔料「エクボ」のCMソングであり、
そのためNHKの歌番組ではB面の「Eighteen」を歌っていましたが
(当時の「レッツゴーヤング」の司会はそれを作曲した平尾昌晃氏でした)、
当時の松田聖子さんの勢いならば、CMソングとして起用されていなくても
「風は秋色」は大ヒットになっていた事でしょう。


作家について

作詞はデビュー曲から変わらず三浦徳子氏。

作曲もデビュー曲から変わらず小田裕一郎氏。

編曲はデビュー曲と同じ信田かずお氏です。

しかし、構成やコード進行などに凝ってニューミュージック的だった「裸足の季節」とは異なり、
歌謡曲寄りの親しみやすい曲調で作られています。


歌詞について

いきなりラララ…OH! Milky smile~ と、完全にCMを前提にして作られた歌詞ですね。
「あなたの腕の中で旅をする」「ちぎれた愛が指に髪に離れない」等々、
ポエムや歌詞でしかあり得ない表現のオンパレードと言った作風で、
シチュエーションがよく見えない、リアリティが薄い…とも言えますが、
選ばれた言葉の一つ一つに力があるのか、また曲の流れの良さも手伝っているのか、
不自然に聞こえず、どこか哀愁があって、しかし暗くならないと言った、
独特のカラーを感じます。

三浦氏の歌詞は時々え?と思うような表現が出てくる事があります。
「裸足の季節」のB面「RAINBOW~六月生まれ」に「あなたの瞳 空に広がり ささやくの好きさと」
との箇所があり、聖子さんは後の歌唱では聴けないようなやや荒っぽい声で歌っていますが、
その歌詞の状況を素直に想像すると…かなり怖いです((+_+))
…あ、でも私はその曲、リズムも雰囲気も歌唱も聖子さんの作品では異色なので好きです。


楽曲について

「青い珊瑚礁」のヒットに乗じて、かなり性急に作られた感がありますね。
率直に、「青い珊瑚礁」と似過ぎています。

頭サビの構成、同じキー、コードⅣm6(この曲ではキーがAに対し Dm6)の多用は、
アルバム曲「Only My Love」にまでその影響が波及しています。
その作りが、極初期の松田聖子さんの楽曲イメージを決定してしまった感は否めません
(極初期とは大流行した「聖子カット」の時代、即ちデビュー~1981年暮れまで)。

歌メロでも、♪…(あなたの)腕の中で旅をする♪ の部分は、
もろ「青い珊瑚礁」の ♪…(南の)風に乗って走るわ♪ の部分と同じだったりします。

違うのは、「風は秋色」では秋の哀愁感を出すために主和音にメジャーセブンスが使われている事、
2コーラス目に続いて半音上に転調しサビを繰り返す作りとなっている事だけと言ってよく、
「似ている感」を薄めるためか、どちらかと言うとシンプルなアレンジだった「青い珊瑚礁」に対し、
楽器の種類を増やしたオーケストラが構築されて、
楽曲全体に温かみと豪華さを感じさせるものになっています。

全体の構成は2ハーフで、キーは先述の通りAメジャーでハーフではB♭メジャーに転調します。
リズムはシンプルな8ビートのロックで、テンポが「青い珊瑚礁」よりやや速めです。
曲中で使われているマイナーコードには殆ど7thが付加され、マイナーコードが持つ暗さに
メジャーコードの明るさが加味されるような響きを感じさせますが、
それは当時の歌謡曲では常套的な事であり、そのあたりにはニューミュージックと歌謡曲の
境目が曖昧になっていた事も感じられます。

アレンジの信田かずお氏は自身がジャズピアニストであるためか、
コード進行がテンションノートをふんだんに使った難易度の高いものになっている事があり、
それが「裸足の季節」のイントロや間奏、エンディングにも感じられますが、
歌メロ部ではあくまでも歌を目立たせるためと思われる、無難なコード付けがされています。

しかし間奏では歌メロ部とは関連性のないコード進行が使われると同時に、
いきなりピアノが登場してストリングスとのユニゾンでピアノ協奏曲の様相を呈した
流れるようなメロディーが奏でられ、これも秋にはピッタリです(^^)
しかもそのメロディーにはそれまで使うのを我慢していたのを挽回するかのように
テンションノートが次々に出てきます。
その部分のメロディーとコード進行は…(画像をクリックすると大きく見られます)
風は秋色の間奏部分.jpg
この中でC#m7からBm7へのつなぎとして使われるCdimの響きが新鮮で心地よいですね(^^)
通常、ディミッシュはCからDm、FからGに…と高い方向にコード進行する時に、
中継としてC→C#dim→Dm…と言った感じで使われる事が多く、この「風は秋色」の間奏のように
コードが低い方向に変わる時に使われる例は、他にはあまり目にしません。


歌唱について

1980年は松田聖子さんの歌唱の勢いももの凄く、
それが地声でカバーできる最高音にも表れています。
「風は秋色」ではハイDに、
アルバム「NORTH WIND」に収録された「ウィンター・ガーデン」では、
何とハイEにまで達しています(と言ってもどうにか出ている感じですが)。
声質は、アルバム「SQUALL」と比較すると徐々に太くなってきているのが判ります。
翌年の夏には絶不調となっていくわけですが、当時は喉があまり強い方ではなかったのでしょう。


アレンジと楽器編成について

極初期の松田聖子さんの楽曲では 主に信田かずお氏か大村雅朗氏が編曲を担当していました
(違うのは先述の「RAINBOW…」の若草恵氏、「頬に潮風」(「夏の扉」B面)等の松井忠重氏、
「Romance」(「風立ちぬ」B面)船山基紀氏の3人だけと思います)。

スッキリと端正、とにかくカッコよくて厚みはそこそこな大村雅朗氏のアレンジに対し、
信田かずお氏の作り出すサウンドはふくよかで温かみを感じさせます。
それは信田氏のアレンジではフルートやマリンバなど、それ自体温かい音色の楽器を使い、
さらに丸い音色のシンセサイザーで楽曲全体のカラーを強める方向で作られている
楽曲が多いためと思われますし、それが「風は秋色」にも当てはまります。

個人的な好みですが、私は「花時計咲いた」(アルバム「NORTH WIND」に収録)が好きで(^^)


使われている楽器とその定位は:

左: ドラムス(大タム)女性コーラス ストリングス(バイオリン) エレキギター

中央: ドラムス(キック、スネア、ハイハット、小タム) ベース シンセサイザー2種 
   トライアングル コンガ タンバリン マリンバ フルート2本
   ウィンドチャイム

右: ドラムス(シンバル、中タム) 女性コーラス ストリングス(チェロ、ビオラ) 
  エレキギター アコースティクギター

・ピアノがステレオ収録でやや右よりに定位

シンセサイザーはモノフォニックでポルタメントを効かせた物(Mini MoogかArp Odyssey?)が1台、
ポリフォニックでコード演奏している物が1台(Prophet5でしょう)使われています。

当時は24トラックでレコーディングされていると思われるので、
1970年代の8トラック、16トラックの頃と違い、楽器の数が多くなっていますね。
24トラックと言えどもこれほど楽器を詰め込むとボーカルトラックが少なくなるはずで、
恐らくこの曲のボーカルトラックは3~4本程度と思われます
(ミックスの際に「いいとこ取り」をするため、ボーカルには複数のトラックが使われます)。


付記

ヒットした前曲とそっくりの作りだと多くの場合、売り上げが落ちるものですが、
そのような定例が通用しないほど、当時の松田聖子さんの人気は大変なものでした。
以前にも書いたと思いますが、私は松田聖子さんと学年が同じなので(生まれは半年違いますが)、
その頃、自分と同い年のどこにもいそうな女の子がこんなに凄い事になって…
と、友人でも知り合いでもないのに感慨深かったものです。

ほぼ同期の河合奈保子さんとは、雑誌などでよく比較されていました。
歌手としての実力は伯仲、あるいは河合奈保子さんの方に軍配が上がるとも思えるのですが、
その人気にはハッキリと差がついていました。
それはオリコンシングルチャートでの1位獲得曲数が河合奈保子さんが1曲であるのに対し、
松田聖子さんのそれは24曲連続であった事にも表れています。

私はその原因(理由、かな)の一つが、松田聖子さんの不安定さ、と思っています。
河合奈保子さんの歌唱は、どの番組に出ていても、実に安定していました。
声が嗄れていたり、歌詞を間違えたり、音程を外したり、等がほとんどありませんでした。
それに対し、松田聖子さんはその時その時のコンディションがすぐに歌唱に影響し、
声が出なかったり、どこか落ち着かない様子だったり、音程を外したりする事が
珍しくありませんでした。

観る側からすると当然、安定している方がいいように思うのですが、
聖子さんのようなタイプの方が、どこか放っておけないような気持ちになり、
つい追いかけてしまうんですね。
ガラガラ声だったと思ったら今度は透き通るような名唱だったり。
今思うと、聖子さんはやがてファンのそのような心理を見抜き、演じるようになっていった
のかも知れない…とも思うのですが、だとすればそれが完全に成功していたわけですね。

私は結婚・休業後の松田聖子さんには正直なところ、全く興味を失ってしまったのですが、
それまでの5年間に発売された音楽はやはり素晴らしく、
30年以上経った今でも楽しませてもらっています。
いい時代、でした。


今月(2018年9月)17日、作曲家の小田裕一郎氏が亡くなりました。
松田聖子さんの、随所で跳ね上げるような歌唱は小田裕一郎氏の癖を真似たものだそうで、
それは松田聖子さんの歌の魅力を大いに高めた要因と思います。
小田氏の多大な功績に対する敬意と共に、ご冥福を謹んでお祈り致します。


「風は秋色」
作詞 : 三浦徳子
作曲 : 小田裕一郎
編曲 : 信田かずお
レコード会社 : CBSソニー
レコード番号 : 07SH-866
初発売 : 1980年(昭和55年)10月1日

****************************************************

関係ないけど…私の曲です:

「ヒダリヒトリ」ぽぽんたデモ (2018/10/8)

nice!(3)  コメント(10) 
共通テーマ:音楽

nice! 3

コメント 10

タロサ

はじめまして。聖子さんのファン歴ウン十年のオッサンです。詳細な分析で大変読み応えがありました。

青い珊瑚礁が第一エンジンだとしたら、この曲が第二エンジンで、人気を不動にした感じですね。聖子&奈保子の比較も面白かったです。

私のイメージとしては、奈保子さんの歌唱は誰もが認める正統派で、いわゆる「歌のお姉さん」的な優等生といった印象です。正確で穴もないけど、何かプラスαに欠けるというか…。野球の投手に例えると、先発で大崩せずにきっちり試合を作るものの、バッタバッタと三振を取るタイプでもないといった感じでしょうか。

方や聖子さんは、デビュー当初は150kmを超える剛球投手で、四死球連発や一発病で崩れることがあるものの、ハマれば快投乱麻でノーヒットノーランをやるようなタイプという印象です。

81年夏頃にハードスケジュールが祟って喉を壊しますが、例えるなら投手が投げすぎて肩を壊すのと同じかもしれませんね。その後は、テクニックを駆使して技巧派に転身。キャンディボイスという武器を確立していくことになる訳ですが、この人ほど、時期によって声質が変遷し、歌唱スタイルも変わっていったアイドル歌手というのは他にいないと思います。

あと結婚後の作品はあまり興味が無いと思いますが、アルバムなら「SUPREME」「Strawberry Time」あたりまではぜひ聴いてみてください(笑)。結婚・出産後から88年くらいまでは、また少し声質が変わって非常に聴きごたえがありますよ。


by タロサ (2018-10-01 23:51) 

ぽぽんた

タロサさん、初めまして! コメントをありがとうございます。

コアな聖子さんファンの方からお褒めの言葉を頂いて光栄です。
聖子さんについては私などよりも詳しい方が多くおられるので、
つまらないミスだけはしないよう、特に気をつけて書かせて頂いています。

河合奈保子さんは私も大好きなのですが、アイドル歌手と言うよりも
小坂明子さんのように音楽家に近い位置にいる歌手では、と感じています。
プロ歌手で最も大切な条件がいつでも100%近いパフォーマンスができる事であるとすれば、
河合奈保子さんはアイドル歌手中、最もそれに適合しているように思うんです。

ただそれがファンにとって絶対的な魅力かと言われると、そうではないことを
松田聖子さんが証明している、と言えるようにも思います。
しかしファンが歌手に何を最も求めるかは人それぞれなので、奈保子さんと聖子さんが
同じ時代にデビューし活躍した事は、色々な意味でとても価値のある事と思います。

松田聖子さんはほぼ、アルバム1枚ごとに新しい歌唱スタイルを打ち出していたように思います。
で、例えばキャンディーボイス唱法が定着して間もない頃のアルバム「CANDY」に収められている
「ブルージュの鐘」の初回盤バージョンのように、ごくたまに以前の歌い方が出てくると、
ファンとしては何だか嬉しい気分になったりしますよね。
そのあたりのコントロール(言葉が適切でないかも知れませんが…)が、
松田聖子さんは本当に巧みだったな、と思います。
私の個人的な好みのアルバムは3枚目の「Silhouette」なのですが、
このアルバムが出た頃、ある雑誌のインタビューで「このアルバムはひどい!
あんなガラガラ声で歌入れして、プロの作品と思えない」なんて記事もあったんです。
それに対して聖子さんもほぼ同意していて、当時は本人は声が出ない事を
本当に気にしていたんだな、と可哀想な思いがします。

記事にああ書きましたが、実は1986年のアルバム「SUPREME」はその年に買いました!
結婚後、もう聴かない!と思っていたのですが、当時このアルバムのCMが頻繁に流れていて
存在を知っていた事、そしてその頃、洋服を買いに行った所で「蛍の草原」が流れていて
「…いい、いい!」と思ってアルバムをすぐ買いました(^^)
今も「SUPREME」は大好きなアルバムです。 特に「蛍の草原」と「上海倶楽部」が好きです。
「Strawberry Time」表題曲しか知らないので、今度ぜひ、
発売後約30年も過ぎてしまっていますが聴いてみます(^^)

今後もよろしくお願い致します! 長々と失礼しました。

by ぽぽんた (2018-10-02 22:58) 

タロサ

ぽぽんたさん、こんにちは~。
お返事ありがとうございます!

あの時の喉の痛め方が実は相当に深刻で、医者からは「これ以上は歌手は続けられないかも」と言われたそうです…。この出来事もそうですし、結婚、離婚、スキャンダルなど、数々のピンチをそのつどチャンスにしてしまうのが聖子さんの成功の秘訣なのかとも思います。

ちなみに「Strawberry Time」収録曲では、「シェルブールは霧雨」が個人的にはオススメです
by タロサ (2018-10-03 09:12) 

ぽぽんた

タロサさん、こんばんは!

聖子さんはテレビではいつも笑顔でしたから、当時はあまり深く考えていません
でしたが、やはり本人はつらかったのでしょうね…。
「白いパラソル」の頃、「ザ・ベストテン」で「最近声が変わってきたんです」と言って
「裸足の季節」の頃の映像と比較した事がありましたが、やはりそれも
声の状態の深刻さを気にして…の事だったのかも知れませんね。
しかし九州女は、強いです。 私の母もそうなのでよくわかります(^^)

「シェルブールの雨傘」ならぬ「シェルブールは霧雨」、ですね?
今度ぜひ聴いてみます! ありがとうございます。

by ぽぽんた (2018-10-03 23:34) 

もとまろ

ぽぽんたさん、こんにちは。

聖子ちゃんがデビューしたのは私が3歳のときです。明菜ちゃんデビューから聖子ちゃんと神田さんの結婚までは、幼稚園年中組〜小学2年生です。どちらも憧れて真似してとても大好きで…ではなかったけど、聖子ちゃんデビューから結婚までの5年間ぐらいの二人の歌を全部覚えています。歌番組をよく見ていたので、いかにたくさん出てヒットしていたかということでしょう。
奈保子さんとかキョンキョンは、知らない歌もいくつかあります。
それと、当時母からよく真似していたと聞いているのは、わらべ(欽ちゃんファミリーの番組をよく見ていました。夜9時からだったけど)です。

「風は秋色」は確かに「青い珊瑚礁」に似てますが、アレンジの工夫で違いをはっきり出してるのが面白いなぁと思います。
サビの部分は、コード進行はサーカスの「アメリカン・フィーリング」とほぼ同じですね。作曲が同じ小田先生です。
三浦先生の作詞で「え?」と思う歌の最高峰クラスが最近の童謡にありまして、NHKの赤ちゃん向け番組「いないいないばあっ!」から生まれた「ソラハアオイヨ」です。聖子ちゃんの歌と共に青春時代を過ごしたであろう、つんくさんの作曲です。
♪きみとぶらぶらしていると  いつも らららら だよ♪
この歌詞にはちょっとびっくりしました。

ルーキーイヤーの聖子ちゃんは、「レッツゴーヤング」のサンデーズにいたんですよね。2年目にトシちゃんと一緒に司会に昇格しますが、「Eighteen」はサンデーズから一人、3ヶ月交代で司会の先生作曲の持ち歌を歌う「ヤングヒットソング」コーナーで歌われたそうで、歌の雰囲気から、平尾先生ご自身のウエスタンカーニバルの思い出を聖子ちゃんに再現してもらいたかったのかな…と聴いていて思いました。

次の更新も楽しみにしています。
by もとまろ (2018-10-05 17:12) 

tucson

こんばんは。
浪速可憐の音がニコニコ動画にありましたので早速聞いてみました。すごいですね。フルコピーしているようでバックのバンドが半端なく上手です。大阪弁の歌詞がドラマを見ているように迫ってくるので
バックより歌を聞いてしまいます。
ご紹介ありがとうございました。愛聴盤にします。


ところでこの曲(風は秋色)もオリジナルカラオケがニコニコ動画
にあったので聞きながら解説を読みました。(オリカラだと思います)なるほどなるほどと思うばかりで、ポポンタさんの耳の良さに
ビックリするばかりです。

トライアングルと書いてあってどこにあんねんと思っていたら歌入からでした。それもセンター定位で。

オリカラをじっくり聞いて感じるところは
①演奏をコピーしようとするとき、分かり易い。
②改めてアレンジの凄さを感じました。ドラムのキックとベースのアンサンブルとでもいいますか、単に8ビートではなく曲の流れに乗せてフレーズが決められ、合わせています。ベースは音の長さも指定されているような感じですね。
③演奏者(スタジオミュージシャン)は、この曲のパート譜を見てリハをして録音するんでしょうね。初見に近い人もいると思いますがやはりプロは凄いです。


間奏部分のスコアで10小節目(Bm7/E)ですが、二つ目2拍3連
#F #E #Fとあります。これは#F ♮F #Fという認識で
いいのでしょうか。譜面表記やコード、スケールなど詳しいことが分かっていないので、質問させてください。


ドラムは長年やっていますので、譜割やドラム譜面は理解できます。

長々と感じたことを書きましたが失礼いたしました。


by tucson (2018-10-05 22:38) 

ぽぽんた

もとまろさん、こんばんは!

私が子供だった頃は歌謡曲の番組と言うと親が見せてくれなかったものですが(なので、
かの有名な「ザ・ヒット・パレード」も番組冒頭の映像が出てくるだけでチャンネルを
回されてしまったものです)、もとまろさんの世代だとそんな事はなかった、ですよね(^^;)
もとまろさんにとって、松田聖子さんが登場した頃の歌番組は良い思い出として記憶に残って
いる事と思います。

「風は秋色」が「青い珊瑚礁」に似ているのは一つの戦略と思いますし、アレンジャーを替えて
サウンドに変化を持たせたのは大成功だと思います。
小田氏の曲は、サビとそれ以外とをハッキリと区別しているのが特徴ではと思います。
「アメリカン・フィーリング」(今年もこの曲の記事を時期的に書き損ねてしまいました)と
サビ部分のコード進行が同じである事は気づきませんでした。 ありがとうございます!
三浦徳子さんの歌詞は、阿木燿子さんや有馬三恵子さんのように、女性の感覚ならではの
表現が散見されますね。
それを特に感じるのは、私は「みずいろの雨」(八神純子)なんです。
八神さんは三浦さんについて「濡れた歌詞が書ける人」と思って依頼したとの事ですが、
正直、男性の私からすると理解しづらい事があるのも確かです(^^;)

「Eighteen」はYouTubeでも当時の動画を多く観る事ができますね。
平尾昌晃氏が聖子さんに書いたのはこの1曲だけですし、もとまろさんが仰るような意図が
あっての曲作りだったと思うのですが、特にAメロがオールディーズの「悲しき16才」
(ケーシー・リンデン)の丸パクリなので(以前にも書きましたね)、今思うと
よく盗作騒ぎにならなかったものだ、とも思います(^^)

by ぽぽんた (2018-10-06 18:31) 

ぽぽんた

tucsonさん、こんばんは!

浪花可憐、聴いて下さったんですね(^^) そのCDは数年前にバラエティ番組「トリビアの泉」
で採り上げられた事があって、その直後に売り切れとなったと言うエピソードもありまして(^^;)
もう一つご紹介したいのが、1996年に杉真理さんがプロデュースしたカーペンターズの
トリビュート盤「愛は永遠に」(N・A・T)です。
ボーカルが、カレン・カーペンターの声そっくり!と言われる峠恵子さんで、
オケが「浪花可憐」にさらに増して完コピと言って良いほどのアレンジなので、
目を閉じて聴いていると、本当にカレンが達者な日本語で歌っているような気がしてきます。
私もこのCDはつい最近、友人から借りて知ったのですが、つくづく、カーペンターズの
日本のポップスに与えた影響力の強さを感じます。
機会があったら、ぜひ聴いてみて下さい。

まだまだ稚拙な解説ですが、実際の音源を聴いて読んで下さったとは、とても嬉しいです(^^)
オリカラをお聴きになったご感想は、やはりご自身も音楽をされておられる、
そのような方ならではのものですね。
ボーカルが無いと音楽として完全に成り立たないのも確かですが、その分、
バックで演奏しているそれぞれの音がよく聴き取れるのはとても楽しい事ですよね。
プロは大体1曲につき1時間ほどで仕上げる、などと言われていますが、
逆に言うとそれしか時間が与えられないために、自分の個性が前面に出た演奏となって
その人がレコーディングに参加した楽曲がどれもどこか似たようなサウンドになる、
と言った弊害もあるように思います。 それが目的の場合も多々あると思われますが…。

#F #E #F については仰る通りです。 記載上、ナチュラルを使うと次の音にまた#を付ける
事になるので、少しでも簡略化するためと言う理由もあります。 でも読めればどちらでも
全くOKです。
私もたまにドラムスの譜面を見ますが、それを見て演奏できるのは凄い、と本気で思います。
以前、「リズム&ドラム・マガジン」で2号連続でドラマーとしてのカレン・カーペンターが
特集され、初めてその雑誌を買ったのですが、ドラム譜には圧倒されました。
キーボードは基本両手、ペダルで右足を使うくらいですが、ドラムスは両手両足で
それぞれ違う事をするわけですよね。 私には憧れの域を出ない楽器です。
いつかセッションできるといいですね(^^)

by ぽぽんた (2018-10-06 19:17) 

White Autumn

ぽぽんたさんごぶさたしております。
いつぞやはお騒がせして失礼申し上げました。
また、コメント差し上げてよろしいですか。

小田裕一郎さんの訃報の際、「1979年に『アメリカン・フィーリング』をヒットさせて…」と記されていて、久しぶりに聴いてみたらサビのメロディーに改めてびっくり。「青い珊瑚礁」と「風は秋色」は、「アメリカン・フィーリング」を親に持つ双子に例えられるでしょう。サビの前半は「青い珊瑚礁」に、後半は「風は秋色」に化けて?います。「風は秋色」の最後のハーフでキーが半音上がるところも「アメリカン・フィーリング」と同じですね。本文中に指摘のある独特のコード進行を持つ間奏は「アメリカン・フィーリング」および「青い珊瑚礁」との差別化に必要だったのでしょう。

初期聖子さん、すなわち喉を痛めて唱法を変え、松本隆さんに出会う前のシングル曲では一番好きです。今も時折鼻歌で歌います。
初期の頃は声質も歌い方もかなり生々しい癖があり、好みか否かが明確に分かれるでしょう。淡谷のり子先生が「カエルがつぶれた声みたい」と露骨に嫌がっていたことをよく覚えています。淡谷先生の普段の毒舌は多分に激励の意味も含まれていましたが、そこまで言うことは滅多になく、おそらく本気で合わなかったのでしょうね。対して河合奈保子さんはデビューの時点で、既にかなり完成度が高かったと言えるでしょう。

<三浦徳子さんの詞について>
それを言ったらおしまい…と申し上げてはぽぽんたさんに失礼ですね。「くるみ割り人形」なども、全体の意味はよく通じるけれども個々のフレーズはよく考えれば論理的に破綻しています。「大きな森の小さなお家」の「ナーイナイ、ナーイナイ」なども、おそらく男性の作詞家には出せない発想でしょう。その一方で詞全体がメタファーになっている仕掛けで、なかなか侮れません。

八神さんのアルバムにはとても艶めかしい詞も書いていて、大人ってこういうことなんだ、と教えてもらった気がします。

<Eighteenについて>

レコードで聴いていた時から「ん?どこかで聴いたような?」でしたが、数年後に放送された大滝さんのラジオ番組で答えがわかりました。

このシングル盤が発売される少し前に八神さんの「パープル・タウン」が出て大ヒットしましたが、ぽぽんたさんもよくご存じの騒動に巻き込まれました。八神さんが見せしめのように狙われたのは、いわゆる芸能界の力学が働いてしまったのかも、と今さらながらに思います。

<再び小田裕一郎さんのお話に>

今はもう聴けないかもしれませんが、お元気な頃は「青い珊瑚礁」をセルフカバーした"Sangosho"というナンバーをWebにアップされていました。その冒頭、小田さんは「オーーオ…」と「バナナ・ボート」のような声を入れてい、英語で歌ってます。「青い珊瑚礁」は小田さんにとっての「バナナ・ボート」だったのかも、と感じました。大村さんの端正なアレンジで野性味がすっかり隠されてしまいましたが。

小田さんの作風は、とにかくジメジメしたものは嫌い、明るく豪放に…だったと思います。その特徴は「ゆ・れ・て湘南」などにもよく表れています。

遅くなりましたが、改めてご冥福をお祈りいたします。
by White Autumn (2018-11-29 22:29) 

ぽぽんた

White Autumnさん、こんばんは! お返事がすっかり遅れ、申し訳ありません。
お騒がせって…何でしたっけ?(^^ゞ

今思うと、小田裕一郎さんの楽曲は独特のスタイルがありましたね。
「アメリカン・フィーリング」と松田聖子さんの曲が似ているとは気づきませんでした。

淡谷のり子さんが松田聖子さんの声をそれほど嫌っていた事も知りませんでした。
確か松田聖子さんがデビューした翌年あたりに、その頃「ミュージックフェア」の司会を
していた長門裕之さんが松田聖子さんの歌声をひどくディスった事があったのは
知っていたのですが、もしかすると当時の松田聖子さんの声はお年寄りには
耳障りに聞こえていたのかも知れません。 私の母も松田聖子さんの歌を嫌っていたのですが、
そう思うと少し得心がゆきます。
河合奈保子さんについては、私の母も好きだったようです。

有馬三恵子さんやズズさんもそうですが、女性の作詞って男性のそれとは
明らかに感性が違う事がよくわかりますね。
もしかすると男性と女性とでは、この世のすべてのものの見え方が根本的に違うのでは、
とも思ってしまいます。

小田裕一郎さんと松田聖子さんを組み合わせたスタッフも優秀で先見の明があった、
と言う事かも知れません。
私はやはり今でも、三浦徳子・小田裕一郎両氏が多くの作品を提供していた
最初のアルバム3枚の時代が、松田聖子さんの歴史で最も好きです。

by ぽぽんた (2018-12-02 22:54) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。