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いつかどこかで / 浅田美代子

B面で終わってしまったのがもったいなくて…

赤い風船.jpg
この作品について

「いつかどこかで」は、1973年4月に発売されオリコン1位の大ヒットとなった
浅田美代子さんのデビュー曲「赤い風船」のB面に収められた楽曲です。

抒情的な「赤い風船」に対して「いつかどこかで」は青春ソングと言った趣で、
快活ささえ感じられる、浅田美代子さんのみならず当時のアイドル歌謡に
あまり聴かれないパターンの一曲であり、「どうせB面だから」と捨ててしまうには
惜し過ぎると思い、今回採り上げてみました。

この曲はアルバム「赤い風船」(CDは現在廃盤)、現行版「ゴールデン☆ベスト」にも
収められていますので、ご一聴をお勧めします。


作家について

作詞はA面「赤い風船」と同じ安井かずみ氏。

作曲はテレビ時代劇「大岡越前」のテーマ曲などで知られる山下毅雄氏。
氏は我々の子供時代に大人気だったアニメ「スーパージェッター」「ルパン三世」
などの音楽も手がけているんですね。

編曲はボブ佐久間氏。 氏は1970年代にはテレビドラマやバラエティ番組などの音楽を
多く担当していましたが、この曲では同じプロダクションつながりで
山下毅雄氏の曲を編曲したようですね。


歌詞と歌唱について

安井氏の外見のイメージからは程遠いような(失礼)、健康的で大らかな内容であり、
控えめに歌っている「赤い風船」とは一転して覇気が感じられ、
もしかすると浅田美代子さん自身もこちらの方が気に入っているのでは、とさえ感じます。
浅田美代子さんの作品でこれほど声が出ているものは他にないかも知れません。
曲自体は転調が持ち味の、やや複雑な作りなのですが、歌唱はしっかりとしています。


楽曲について

全体の構成は単純な2コーラス。
リズムは3連のスイングであり、素直な8ビートの「赤い風船」とは対照的です。

ちょっと先述しましたが、この曲はキーがFメジャー(ヘ長調)で始まり、
歌メロ部中盤でFの半音下であるEに7thを加えドミナントとしてCメジャー(ハ長調)に転調、
やがてそのトニックに7thを加えてドミナントとしてFメジャーに戻る、と言った
やや複雑な転調をしています。

コード進行はディミニッシュやテンションコードで所々微妙な響きが作られていますが、
クリシェを多用しているためか、転調が入っても流れがスムーズで自然です。
そのあたりを中心に楽譜で確認してみて下さい:
いつかどこかでscore.jpg
ベースの動きはスイングジャズそのものであり、歌謡曲離れしています。
そのあたりは、もしかすると「B面だから好きに作っていいよ」などと言われて…
かも知れませんね(^^;)

しかし楽曲全体のイメージは小難しいジャズではなくわかりやすいポップスであり、
ピアノやビブラフォンの優しい音色とボーカルを支える女性コーラス、
イントロや間奏でクラリネットとピッコロのユニゾンで演奏されるユーモラスな響きの主メロなどが、
楽曲全体を明るいイメージに仕上げています。

イントロと間奏だけ、ピアノにエコーがかかっているのが何とも可愛いんです(^^)

歌が始まり1回目の転調後に展開される女性コーラスとストリングス、コルネットの掛け合い、
そこに乗る最高音がEに達する浅田美代子さんの二重ボーカルは絶妙で、
「赤い風船」とは全く違う盛り上がりを作り出しています。

もし、当時から浅田美代子さんを知っていながらこの曲を初めて聴く人がいれば、
きっとこの曲が持つ高い音楽性と魅力的なボーカルに驚くと思います(^^)


「いつかどこかで」で使われている楽器とその定位は:

左: アコースティックギター ストリングス(バイオリン) 電気ピアノ ビブラフォン

中央: ベース ドラムス クラリネット ピッコロ 女性コーラス

右: ピアノ 鉄琴 ストリングス(ビオラ、チェロ) コルネット 


付記

「赤い風船」「いつかどこかで」を耳にするたび、その後の歌手としての浅田美代子さんが
残念に思えてなりません。
それらの良さが録音技術によるもの大きいのは確かですが、それはどの歌手にも言える事ですし、
特に「いつかどこかで」でのボーカルの表情の豊かさは、本当にヘタな歌手だったら
決して出せないものと思うんです。

2作目「ひとりっ子甘えっ子」とそのB面「風とふたりで」までは順調だったのに、
3作目「わたしの宵待草」で早くも失速が感じられ、
4作目「恋は真珠いろ」では、すっかり輝きが失われてしまっています。
5作目の筒美京平氏による作品「しあわせの一番星」でやや盛り返しますが、
それでも前年の輝きは取り戻せていないのは明らかでした。
それは率直に言って、伸びるはずの芽を大切に育てなかったためと思うんですね。

ファーストアルバム「赤い風船」は12曲中10曲がカバーですが、どの曲も良い仕上がりで、
浅田美代子さん以外にも多くの歌手がカバーした「夢でいいから」(オリジナルは
「太陽は泣いている」(いしだあゆみ)のB面)は出色の出来ですし、
6曲の外国曲のカバーも、アレンジやエンジニアリングの良さと浅田美代子さんの
チャーミングで表情豊かなボーカルで質の高い音楽に仕上がっているんです。
特にラストナンバー「夢みるシャンソン人形」は、歌詞は元気一杯な弘田三枝子さんver.
と同じながらアレンジや歌唱が全く異なり、どこかかげりが感じられる
魅力的なカバーに仕上がっています。

ところがシングル「恋は真珠いろ」はどう聴いても歌詞、曲、編曲、どれをとっても
ありきたりなもので終始し、さらにボーカルもつまらなそうにしか聞こえない…と、
ヒットしそうもないような出来になってしまっているんです。
特に編曲は、同時期に発売された山口百恵さんのセカンドアルバムに収められた
「お月様の下で」の録音時についでに似たような音を作っただけ…
と思えるような安易さが感じられ、
ファン以外は買わないようなものになってしまっています。

最初の2年間だけでもファン以外も買うような質を持つ楽曲を出し続けていれば、
またその間に明確な歌唱力の向上があれば、
浅田美代子さんは歌手としても成功したように思います。
「赤い風船」から44年も経って、今以て歌唱力がギャグにされるのって、
かつてのファンにとっては嬉しくないもので…ちょっと熱が入っちゃいました。
失礼しましたm(__)m


「いつかどこかで」
作詞 : 安井かずみ
作曲 : 山下毅雄
編曲 : ボブ佐久間
レコード会社 : CBSソニー(EPICレーベル)
レコード番号 : ECLB-1
初発売 : 1973年4月25日

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sjghd

こんばんは。

まさか、浅田美代子さんのB面を取り上げるとは、嬉しいです。

私は、桜田淳子さんのファンですが、浅田美代子さんのファンでもありました。
当時は、ファンクラブに入り、新曲発表会やリサイタルに行きました。
LPも買っていました。

「恋は真珠いろ」の評価が低いですが、
私も、浅田美代子さんのシングルでは、一番下になります。

「しあわせの一番星」は、好きな曲で、かなり頑張ったと思います。
それ以降、だんだんレコードセールスが落ちてきたのは、アイドルの宿命で
だんだん、ファン離れが出てきたということだと思います。

「わたしの宵待草」は、結構、気にいっています。


浅田美代子さんのB面では、「いつかどこかで」「風とふたりで」「恋のまえぶれ」「パリの絵ハガキ」など、いい歌がたくさんあります。

by sjghd (2017-12-17 22:49) 

もっふん

以前からぽぽんたさんが熱烈な浅田美代子ファンであった事は存じ上げておりましたが、今回の記事は「付記」を書きたいがために書かれたような気すらします(笑

えーと、私は特定のアイドルのファンにはならずに広く浅く楽しんでいたライト層なので「信者」の方にはお気を悪くされる方がおられるかも知れませんが、そういう「ただのミーハー」として正直なところを書きますね。

私は浅田美代子さんを否定もしませんが全肯定もしません。アイドルとしての彼女の存在感は超一流でしたし、シングルで聴く事の出来た楽曲には良い物も多く、私自身、これは誇張でも何でもなく「虹の架け橋」の歌い出し(さわやかな朝~を~♪)やサビは日頃から気が付いたら口ずさんでいたりします。

特にサビの

 嬉しいことならいつも ふたりで倍になるの
 淋しいことなら いつか半分になる

と言うフレーズは当時思春期にあった自分の恋愛観を越えて対人関係観を「言葉で考える」きっかけとなったフレーズで、極端な話、死ぬまで忘れないと思います。

これって安井かずみ氏だけの手柄かと言うとそうではなくて、たぶん浅田さんが歌っていなかったら「凄く説教臭いだけ」で終わっていたと思うんですね。「守りたい存在」のシンボルとも言える浅田さん(歳上ですが・笑)に逆に守られているような感覚があって初めて骨身に沁みる。そういう「言葉に魔法をかける事が出来る」のがアイドルのアイドルたる所以であるとも思うのです。

一方、当時のアイドルはレコードを吹き込むのは仕事の半分、もしくはそれ以下でしかなく、テレビに出てナンボ、歌番組で歌ってナンボであった事もまた事実で、率直に言って「ライブ・シンガー」としての彼女の力量には物足りない所があったとも思わざるを得ません。

Wikipedia には「NHK の出演可否を決めるオーディションに五回目で合格した(本人談)」と書かれていますが、失礼があってはいけないので別ソースも探したところ、

 https://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/13/717228/

こちらではご本人の言葉として「四回目で合格」となっていて、受かったのが四回目か五回目かは分かりませんが、いずれにしてもこれが当時の彼女の歌唱力に対する一つの評価であった事は確かです。(もっとも昔の NHK は歌手に対してとても厳しくて、リバーブを掛ける事すら許されなかったと聞きます)

では彼女は音痴なのかと言うと、これは断固として否です。

たぶんデビュー前は勿論、 NHK のオーディションに合格するためにそれなりの期間ボイストレーニングを受けたものと想像出来ますが、音痴は幼少期に形成される聴覚やリズム感の問題なので、高校生の年代からどんなにレッスンしたところで審査に合格する事は出来なかったでしょうし、いくら「科学の力」を駆使してもシングル一枚収録する事すら難しかったと思われます。彼女は「やればできる子」だったはずです。

ちゃんとした耳を持ち、天から授かった愛らしい声質を持ち、では彼女に何が足りなかったか。

私は過去のコメント(乾杯モンテカルロ)で「歌唱力は度胸が9割」と書きました。この「度胸」にもいろいろあって、例えば難しいフレーズに差し掛かった時はフィギュアスケートのジャンプの踏み切りとたぶん似ているであろう「自分を信じる」気持ちが要求される時もあります。

しかし実際問題として、カラオケが苦手な方を含めて最も良く見られる「度胸が無い状態」と言うのは「私なんかが人前で歌って良いのだろうか・・・?」と言う気持ちを持ってしまう事です。浅田さんもたぶんこのパターンであると思われる、そのヒントが上掲の URL の記事の一節にあります。

 >浅田美代子はデビュー当時、歌番組に出ることが多かったという。
 >歌手達はお互いライバル視していて居心地が悪く、ドラマの現場の方が
 >楽しかったと話した。

歌い手は、少なくとも歌っている間は「自分が一番、自分サイコー!」と自己陶酔出来るくらいのメンタルが必要なのですが、そういう自信がピチピチに満ち溢れた同業者達と「競い合うように歌う」事が、当時の彼女には恐らく難しかったのでしょう。

歌手に限らずバンドマンもオケのメンバーも同じで、およそアーティスト(ぽぽんたさんは「芸術家」と解釈してこの言葉を嫌われておられるのかも知れませんが、業界では単純に「最終的に表現する人」として使われているらしいです)と呼ばれる人はみな同じですので、もし浅田さんも「わたし決して上手くは無いけれど誰にも負けないくらい可愛く歌えたわ♪」などと思えていたならば、世間の評価もまた違ったものであったかも知れません。

でも、アイドルが全能である必要も無いんじゃないかとも思うのです。

もしライブにおける歌唱力をもって浅田美代子さんがアイドルとして伸びなかった、だから失敗だと言うなら、能瀬慶子さんやら風吹ジュンさんあたりも最初からテレビに出す事がかなわなかったでしょうし、デビュー時点でヘタクソと思われていたのに自信を付ける事で実力を出せるようになった人もたくさんいます。浅田さんはレコード(私が知っているのはA面だけですけど)がキッチリ出来ているだけでも充分にお釣りが来るほどの存在だったと思います。

ぽぽんたさんの「付記」からは「筒美作品は良かったのに」、もっと露骨に言うと「都倉俊一の楽曲が彼女をダメにした」と言わんばかりの恨み節が聞こえて来るようですが、私が先ほど挙げた「虹の架け橋」は都倉氏の手によるものです。

実はこれ、凄く単純な別の理由だと思うんですよ。


★「時間ですよ」第3シーズンレギュラー:1973年2月14日~1973年9月5日

 赤い風船(1973年4月21日)オリコン1位
 ひとりっ子甘えっ子(1973年7月21日)10位

★ <レギュラー無し>

 わたしの宵待草(1973年10月1日)11位
 恋は真珠いろ(1973年12月5日)16位

★「寺内貫太郎一家」第1シーズンレギュラー:1974年1月16日~1974年10月9日

 しあわせの一番星(1974年3月1日)7位
 虹の架け橋(1974年6月1日)12位
 じゃあまたね(1974年8月21日)17位

★ <レギュラー無し>

 想い出のカフェテラス(1974年12月21日)40位
 少女恋唄(1975年3月1日)圏外


もうはっきりと、ドラマのレギュラーが始まるとシングルが売れて徐々に下がって行き、番組が終わると急降下する、と言う傾向が見て取れます。これはたまたま浅田さんはそういうタイプのアイドルだっただけの話であって、逆にドラマや映画には起用が難しいアイドルもいるのですから、それがダメであるとは思いません。

マネジメントを担当していた事務所もたぶん分かっていたのだと思いますが、テレビの番組は一年を4クールに分けて制作されているので(元々が単発の特番だったせいか「時間ですよ」の放映期間は非常に変則的です)、「赤い風船」が新人賞レースに食い込んでいて表に裏に多忙となる第4クールにレギュラーを持たせるわけには行かなかったと言うような事情も透けて見えたりします。

結果として歌手としてのキャリアは短かく終わりましたが、結婚引退・離婚復帰を経てなお女優として活躍され、バラエティ番組などで今も元気な姿を見せてくれているのですから、稼ぎの多寡は知らねど芸能人としては勝ち組と言って良いんじゃないかと思います。浅田さんご自身が歌の仕事を好きでなかった(歌わされていた)のであればなおさらです。

他方、確かに私も「恋は真珠いろ」に少なからぬ「やっつけ感」を感じます。しかし、それは誰でもが感じる事なのか、いろいろな音楽を聴いて来た今の自分だからなのか、少々音楽を知っていて「いきなりドッミッソッ、ってバカにしてるの?」と感じてしまうからなのか(井上陽水の「白いカーネーション」('72「センチメンタル」収録)も「ドーミーソー」で始まるので最初に聴いた時は鼻白みました)、それは難しいところです。トップアイドルに時としてこの手の「軽い歌」を充てるのはアリだと思う一方で、そのつもりならば淡泊なイントロが長すぎてくどいとも感じます。

都倉氏としては「宵待草」は筒美2作品の路線を踏襲したけれども「汎用アイドルとするには(もしくは都倉カラーを出すには)ここで何かを変えなければ」と言う思いだけが滑ってしまったのか、あるいはクリスマスに街角で流れて広く口ずさんで欲しいと考え過ぎたのか(編曲が「軽い」のはこちらの線が濃厚とも感じられます)。しかし、もし当時の感覚でも「真珠いろ」が駄作だったならば、翌年に森昌子のカバーアルバムの一曲として選ばれる事も無かったのではないかと思うのです。


累計で80万枚を売上げた「赤い風船」は別格として、私が個人的に筒美作品よりも「虹の架け橋」や「じゃあまたね」を好むのは、彼女が自分の立ち位置を理解して、と言うより、元々ドラマのオーディションからデビューした人なので「原点を再確認して」、良くも悪くも割り切って「背伸びすることなく」歌えるようになった時期の曲だからかも知れません。


【付記】課題曲について(こっちが付記かよ・ばき

1コーラスで転調してエレガントに戻って来る方法ってあまりなくて、同主調(短3度-長6度)への転調の安易さとは非常に落差が大きいですが、次にポピュラーなのが強いて言えばこの完全4度-完全5度でしょうか。安全に転調する場合はドミナントモーションや IIm-V7 を使う、転調元と転調先のスケールで異なる音(この曲の場合 B♭と B♮)を明示する、と言う基本が守られているのでややこしい割には非常に自然に聴こえます。

この転調のミソは E7 が平行調のトニックである Dm へのセカンダリー・ドミナントであって、続いて早いタイミングで A7→Dm が来たらそれは転調していない事になってしまうところかと思います。だからこそ E7 が2小節も続けられていて、その間に何となく転調したんだと納得する形になっている、と解釈しました。

ですので、ぽぽんたさんの楽譜では基本テーマが Key=C で出て来る 33 小節目で初めて調号が変えられていますが、私なら E7 が出て来た時点(25小節目)で変えておくと思います。別の言い方をすると 25小節目以降に適当なオブリガードや対旋律を加えるとしたらそのスケールには B♭ではなく B♮を使うべきだと思うからです・・・とは言ってみても、私には分かりませんが、実際に裏で B♭を含むフレーズが演奏されているのだとしたら、これはもう「参りました」としか言えません(笑

E7 の時点で転調している事を明示するには 24小節目の最後に一発でも Bm7-5 や F7 をはめると良いのかな。メロディの関係で使えませんが他の楽曲であれば Bm7 や B7 を使うケースもあるかと思います。逆に Key=F に戻す時に多用されるのは Gm7→C7 のシーケンスです。この曲の場合は却ってオシャレじゃなくなってしまいますが。

ぽぽんたさんは聴こえた音を忠実に譜面にされるので一周目と二周目で微妙に違う所などもズバリと書き分けて来られますが、ギター出身者はその辺がアバウトな場合が多く(え?私だけだって?・汗)、私はいつも読譜すると新鮮な気持ちになれて楽しいです。いつも有難うございます。(^-^)ノ

_
by もっふん (2017-12-18 11:27) 

ぽぽんた

sjghdさん、こんばんは!

読んで下さってありがとうございます。
「赤い風船」がヒットしたのが私が小6になったばかりの頃で、すぐさまお小遣いで
シングルを、翌々月にはアルバム「赤い風船」を買って毎日聴いていました。
私が初めて買った、邦楽のLPレコードだったんですよ。
で、シングルに付いていたはがきでCBSソニー5周年記念コンサートに応募して、
見事当選したんです! しかし当日、用事が出来て行けなかったんです。
今も後悔してます(T_T)

「わたしの宵待草」は私もシングルを買ったほど好きだったのですが、
聴いてみたらB面の「恋のシンデレラ」の方が気に入ってしまいました(^^;)
その頃、東京12チャンネル(現テレビ東京)で浅田美代子さんの冠番組
「ひーふー美代ちゃん」をやっていて、毎週観ていたのも良い思い出です。

by ぽぽんた (2017-12-18 23:09) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは!

いつもの事ながら考察が深い! 私が気づかない事、書き切れなかった事等、
を色々と書いて下さってありがとうございます。

「虹の架け橋」のその部分、私は歌詞を見る前にはどうも何を言っているのか
わからなかった記憶があります。 多分譜割りのせいだと思うのですが、
ふたり でばい になるの と聞こえていたんですね。
でばい?どばい?全然わからん…ってな感じでしょうか(^^;)
私と同じような人、数パーセントはいたんじゃないかなぁ。

浅田美代子さんがNHKのオーディションになかなか受からなかったのは当時から
有名な話でした。
しかし合格後もNHKで歌っているのを観た事、ないんですよね。
当時はNHKに限らず、歌番組でボーカルにエコーをかけたりなどの処理をしている
事はまずありませんでした。
例外的に「うわさのチャンネル」では、ゲスト歌手が持ち歌を歌う時に
リバーブでなくフィードバックのエコーを掛けていたのをよく憶えています。
当時は山口百恵さんや森昌子さんがよく出演していました…ホリプロだからかな。

「では彼女は音痴なのかと言うと、これは断固として否です。」以下は、
全くもっふんさんの仰る通りだと思います。 100%、同意します。
そもそも本当に音痴ならば、いかにレコードとは言えあれほど見事なハーモニーで
二重唱はできないでしょうし、「ひとりっ子甘えっ子」のものすごく歌いにくい音程
(♪…本当はうそなの 甘えっ子♪の「子」、つまりもろ7thの音です)も
クリアできなかったはずです。
きっと「赤い風船」や「ひとりっ子甘えっ子」では京平先生が厳しく指導した
事と想像できますが…。

「都倉作品が…」とは思っていません。 ただ、色々な意味で作り込んだ感のある
「赤い風船」「ひとりっ子…」と較べると「わたしの宵待草」以降の都倉氏作品は
すごく軽く感じられてしまって、物足りなかったのは確かです。

ドラマの出演でレコードの売り上げが落ちていくのは避けられないようですね。
水前寺清子さんは「ありがとう」に出演するのをレコード会社に「売り上げが落ちるから」
と反対されたとの話がありますが、本当にその通りになった…と本人が後悔混じりに
語っていますし。
やはりイメージがどっちつかずになってしまうからかも知れません。
黒柳徹子さんが「徹子の部屋」を始めるにあたり女優業をしなくなったのも、
イメージ的に大衆を混乱させたくないから、と言う事だったようです。

楽譜についてですが、実はそこ、迷ったところでして。
仰るようにE7で転調するのでそこで♭を取っ払った方が良かったのですが、
この曲のサビはその後の♪いつかだれかと…消したくない♪ですので、
それまでは橋渡しのような感覚で臨時記号で済まそう…と思ったんです。
そしてそれらの転調部分でのコードチェンジは、それこそまさにもっふんさんが
解説されている事が私にもスッと理解できます。
逆に言うと、この曲のようなストレートで迷いのない転調って珍しいですよね。

こちらこそ、そんな細かいところまで楽譜を見て下さって、書いた甲斐があります。
ありがとうございます!

by ぽぽんた (2017-12-18 23:59) 

もっふん

今回は雑記です(いつもそうだと言われれば返す言葉がありません・笑)。

★「虹の架け橋」の歌詞★

歌に限らず通常の会話においても人間って先行する文章から次の単語をある程度予測するものですが、確かに「歌謡曲辞書」では「倍」と言う言葉は「使用頻度の少ないレア単語」であって、スッと頭に浮かばず「何らか助詞が省略されたのではないか」と感じてしまった人は多かったかも知れませんね。

これって作詞する時には結構悩むところであって、余りにも簡単に予測できる無難な単語ばかりを選んでいるとそれは陳腐でフックの無い歌詞になってしまいますし、書き下すと同じフレーズでも別の解釈をされる場合もありますし。

ぽぽんたさんが指摘されているように譜割であったり、単語のイントネーションとメロディの関係であったり、作詞家だけではどうにもならない場合も多いので、なんらか挑戦的なキーワードを使う場合は詞先の方が破綻する危険性が少なく、作詞する立場としてはその方がラクであったりはします。

★リバーブ★

これは当時の音響技術とも関係しているのかも?

一つのスタジオやステージで実演する場合、普通にやるとオケの音量が非常に大きくなるのでなんらかの形で歌い手にボーカルの音を返す(モニタ)事はされていたと思うのですが、ここにリバーブが掛かっているとハウリングを起こしやすくなるんですよね。

特に当時主流であったと思われるプレートやスプリングなどの物理的なリバーブほどハウり易い傾向にあると思います。

実際は全く関係なかったのかも知れませんが、現在インイヤーのモニタに無線で音を返すのが普通になっているのを見ると、そういう事情があったのかなとも思わされます。

★音痴ではない★

会社勤めをしていて多くの人とカラオケに同席していると稀に「真性の音痴」と言う方とも遭遇します(苦笑)。彼らはオケの音を聴かないどころか自分の声も聴かないので、脳内だけで「我が道を行く」歌となり、それはそれは凄まじいことになります(笑

そういう一部の方を除いた普通の方には、やはり「歌唱力は9割が度胸」が真実であると思っています。

★NHK★

先のコメントに URL を貼った記事には、これが NHK の番組での対談であったにも関わらず

 >当時NHKに出演した際の映像がなかったため、
 >お笑い番組に出た時の台本が公開された

とありますので、実際に浅田さんが NHK で歌われた事は無かったかも知れませんね。

★真珠いろ★

歌詞の舞台が「友達で集まってギターの伴奏で歌う」ような若者のホームパーティですので、クリスマスから冬休みにかけてのパーティソングにしたかったのではないかと言う推測はあながち外れてはいないと思います。

音楽的に充実した内容のクリスマスソングと言える POPS が出て来るのは「恋人がサンタクロース」('80 松任谷由実)、「クリスマス・イブ」('83 山下達郎)、「ラスト・クリスマス」('84 Wham!)、ちょっと無理めな物でも「クリスマスキャロルの頃には」('92 稲垣潤一)など、もっと後の時代であって、これらも「みんなで一緒に歌う」ような曲ではありません(そもそも「サンタクロース」以外はハッピーソングではありませんし)。

それを勘案すると「真珠いろ」のサウンドが「ジングルベル」に毛が生えた程度であるのは「気楽に聴いて気楽に歌える事」を目指した結果としては仕方なかった事なのかとも思います。浅田美代子さんにビング・クロスビーのような楽曲をあてがうのもナンセンスな事ですしね。

★ドラマ出演の功罪★

水前寺清子さんのように歌手本業である事が明確で、歌い手として新曲ごとに新しい自分を表現しなければいけない立場の人にとってはドラマや映画の役柄にイメージが固定化する事はマイナスであったかも知れませんが、浅田さんの場合はドラマ出演が先にあって「隣のミヨちゃん」が劇中で歌う曲だったからこそ「赤い風船」のヒットがありました。逆に言えば、ドラマに出なければまるで売れていなかった可能性の方が高いでしょうから、水前寺清子さんのケースと同じように考えてはいけないのではないかと思います。

堺正章さんはスパイダース人気が低迷を始めた事で'70から「時間ですよ」に出演しましたが、その結果、ドラマの役柄と全く異なるシリアス路線の「さらば恋人」が大ヒットし、'73までドラマで明るく軽妙なキャラクターを演じ続けたにも関わらず'73に再び「街の灯り」を大ヒットさせています(堺さんのソロ活動の成功がスパイダースの解散を決定づけた側面もありますが)。

薬師丸ひろ子さんや原田知世さんなどは主演した映画の主題歌「しか」売れなかったと言っても過言ではありませんし、浅田さんもまた「ドラマ出演ありき」でレコードが売れるタイプのアイドルであったのだと思います。

このように、映画やドラマへの出演をレコード売上のプロモーションと出来るかどうかはその人の持つ個性(芸の巾も含めて)にもよりますし、最終的な目標が俳優業やコメディアンなど歌手に限定されない「タレント」となる事であれば、レコードセールスの成否だけで「芸能人としてのプロモーション」の成否を論じる事も出来ないのではないかと思ったりします。

★転調★

他の読者の皆様の事を構わずに相当マニアックな事に言及したのですが、それを「スッと理解」して頂ける相手がいると言う事はとても嬉しい事です。

>この曲のようなストレートで迷いのない転調って珍しい

ですね。

普通はやっぱり少しおっかなびっくりな部分が出てしまうので、この曲のように5度上げて4度上げて元に戻すよりも、4度上げる転調を先行させる方が多く、さらに言えば転調先では「どちらとも取れる」サブドミナントから始めるケースの方が多いように思います(要するにモロに日和見している感じですね・笑)。

そういう感覚でいるからこそ、ぽぽんたさんが「月明かり」で書かれたコード・プログレッションには「この人には一生敵わない」と思わされました(笑

依然として音声の問題はあるものの、なんとか「月明かり」はモノにして頂きたいと思っていますし、ご協力できる事があればお手伝いもさせて頂きたいものです。

_
by もっふん (2017-12-21 11:33) 

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