SSブログ

ひとり歩き / 桜田淳子

ビクター続きですが…このジャケ写、好きです(*^^*)

ひとり歩きジャケ.jpg

チャートアクション

「ひとり歩き」は桜田淳子さんの9枚目のシングルとして1975年3月に発売され、
オリコンシングルチャートで最高4位(同年4月7日~21日付、3週連続)、
同100位内に16週ランクインし34.1万枚の売り上げを記録するヒットとなりました。
初主演映画「スプーン一杯の幸せ」の主題歌ですね。

蛇足ですが、小柳ルミ子さんの「ひとり歩き」(1978年)は別曲です。


作家について

作詞は、それまでの全シングルに引き続き阿久悠氏。

作曲は桜田淳子さんのシングルでは初めての起用となる筒美京平氏で、
編曲も担当しています。
桜田淳子さんは筒美氏について「プロの凄みと言うか、(音楽作りの)職人を感じました」
と語っています。
何を指してそのように感じたかは語られていませんが、この曲のレコーディングにあたり、
筒美氏からそれまでにはなかったような歌唱指導があったのかも知れませんね。


楽曲について(1)

リズムは8ビート。 キック(バスドラム)のステップ数が多く、やや速めのテンポと相まって
何か急いでいるように感じられるのは、歌詞の主人公の心情を表現しているものと思われます。

キーはGメジャー(ト長調)で、他調にわたる転調はありません。

1コーラスの構成は A-B-A' とシンプルで、どこがサビなのかが明確ではありませんが、
リズムが最も強いBがサビと判断してよいと思います(個人的にはAやA'の方が
インパクトが大きいと思うのですが)。

全体の構成は、歌謡曲の定番と言って良い2ハーフです。
ハーフでは1コーラス目の歌詞が使われています。

歌メロは8分音符がダーッとつながる、トッカータのような作りで、
それまでの桜田淳子さんの楽曲にはなかったものです。


楽曲について(2)

出だしのコード進行(G→Am→Bm→Em。C調にすると C→Dm→Em→Am)は
ありふれているようででなかなか見られないもので、
通常だと G→C→D→Em と流れるパターンになりそうなところです。

ドミナントの V7 の代わりにⅡm7/V が何箇所かで使われていますが、
それは「はじめての出来事」でも見られたので初めてではありません(^^ゞ
素直に V7 を使うとフォークっぽくなり、ポップスらしさがやや薄れる事があるため、
またドミナントをキープしながらメロディーにⅠ音(ド)を使いたい時のコード設定です。

筒美氏らしくサブドミナントで6thを「ここ!」と言う箇所で使っているのも印象的です
(Bメロの ♪私の前から…♪ の部分ですね)。

そのような事を踏まえて楽譜を眺めて見て下さい:
ひとり歩き score.jpg

この曲の歌メロの音域は下のGから上のCまでの1オクターブと4度で、
それまでの桜田淳子さんのシングルでは「天使も夢みる」と同じで最も広いものです。
推測ですが、この曲では最も低い音をきちんと出す事が大切…
と歌唱指導されたのではないでしょうか。


サウンドについて

シンセサイザーのメロディーが印象的なのは「はじめての出来事」と同じで、
この曲の後、「十七の夏」「泣かないわ」「もう一度だけふり向いて」などもそうですね。
「ひとり歩き」のシンセはちょっと、音がチープかな(^^;)

デビュー曲から前曲「はじめての出来事」まで、ビクター歌謡の王道を行くような
リバーブで曲の表情をつけ全体にしっとりさせた音作りが続けられていましたが、
「ひとり歩き」では作家に初めて筒美京平氏を迎えた事による変化なのか、
リズムを強調し楽器個々の音色をクッキリと出した音作りがされています。
ストリングスのサウンドを含め、この数ヶ月後に大ヒットした「ロマンス」(岩崎宏美)
につながる、ディスコミュージック的な音作りが「ひとり歩き」で
すでに行われていたんですね。

桜田淳子さんはアルバム「Thanks40~青い鳥たちへ」のブックレットで、
「ひとり歩き」の解説の中にビクターのエンジニア高田英男氏について書いているので、
音作りは変わってもエンジニアリングはそれまで同様に高田氏が担当していたようです。

「花物語」「三色すみれ」「黄色いリボン」そして「ひとり歩き」と、
一人二重唱(三重唱もあり)でミックスされた曲が散見されましたが、
以後、そのような多重唱はほとんど聞かれなくなりました。

「ひとり歩き」は桜田淳子さんの変声前の歌唱が聴ける最後に近い楽曲であり、
その夏には大人の声になっていったので、変声後の声質が多重唱には合わなかった、
または多重唱にする必要のないものに変わったのがその理由でしょう。
その意味では、1977年秋の「もう戻れない」で聴ける二重唱は貴重かも知れません。

尚、「ひとり歩き」の通常ミックスでは、Aメロ部のみ2つの声のバランスに差をつけて
(ソロのように聞こえるが小さくもう一つの声も入っている)いますが、
CD-4(4チャンネル)ミックスでは最初から最後まで、2つの声が同バランスで使われています。


「ひとり歩き」で使われている楽器とその定位は:

左: トロンボーン

中央: ドラムス ベース シンセサイザー フルート

右: タンバリン トランペット シェイカー エレキギター

・ストリングスは左から右へ第1・第2バイオリン、ビオラ、チェロと並べられ、
 音量バランスとしては第1バイオリンとチェロがやや大きめにされています。

・ピアノがステレオ収録で入っていますが、イントロや間奏などではほとんど聞こえません。
 CD-4(4チャンネル)ミックスでは、イントロからガンガン聞こえています。

・ドラムスもステレオ収録で左右に広がって定位していますが、中央にキックとスネア、
 左右にタム、中央付近からシンバルと、実物のパーツ配置とはかなり違っています。

・左のエレキギターはイントロや間奏などでメロディーの補助、その他ではコードの
 補強などを行っていますが、その音は地味で小さく、無くても支障なさそうです。


付記

この2月25日、桜田淳子さんのデビュー45周年の記念日にニューアルバム発売です!
…ってファンの方ならご存知ですよね。
ビクターからではなくインディーズなのはちょっと残念ですが、
3月に行われるライブイベントの優先予約ナンバーも封入されるとの事ですし、
何より40周年の時でさえ叶わなかった新録音によるアルバムが実現したのですから、
嬉しいですね。

不倫報道もそうですが、信仰等の超個人的な事をマスコミが必要以上にクローズアップし、
結果ファンにとって大切な偶像を貶める事になるのは、犯罪等を起こしたのではない限り、
本来はあってはならない事です。
現在も数多い桜田淳子さんのファンは、そのような報道に耐えながら長年応援を続け、
それに桜田淳子さんが応えて新しい活動につながったわけですから、これは快挙ですね。

ビクターからは、5年前にhama-Pさんの尽力で実現したCD/DVDセット「Thanks40
~青い鳥たちへ」の続編で「Thanks45~しあわせの青い鳥 LIVE ANTHOLOGY」
が発売されるとの事で、ファンにとってますます嬉しい反面、経済的にやや大変かも(^^;)
でもどうでしょう、10年ほど前にライブ盤のボックスセットが出ていますし、
ファンの方ならばその所持率が高いと思われるので、未発表音源満載ならばともかく、
ラジオ番組音源とDVDだけにして価格を下げる方が喜ばれる気がしますが(^^;)
しかし桜田淳子さんが自ら選曲・構成した「ライブベスト」との事ですので、
本人の思い入れが伝わる、そのあたりに価値がある…と言う事ですよね。


「ひとり歩き」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レコード会社 : ビクター
レコード番号 : SV-1217
初発売 : 1975年3月5日

nice!(2)  コメント(13) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 13

ゆうのすけ

小がめらさんから 新鮮情報をいただいてびっくりしました。
新作が自主販売されるんですよね。サイトによると
一番声質が安定した(キーに無理が無い)頃の作品がリメイクされ新曲も!やはり淳子さんの作品で一番好きな「リップスティック」が新録されるのは気になりますね。^^
「ひとり歩き」は私もシングルを持っているんですが 結構印象的で ストローで飲まれているものが アイスコーヒーかミルクティーか判らないんですが やや色合いが薄めに見えてしまって 氷が溶けて薄まっちゃったのかな?なんて関係ないことが過ぎっちゃうのでした。^^☆
by ゆうのすけ (2018-02-12 18:12) 

もとまろ

ぽぽんたさん、こんにちは。
お寒うございます。

淳子さんのCD発売のお話が出たので、次のぽぽんたさんは淳子さんの歌だ(‼)と思ってました。
知っている歌で嬉しいです。

ですが。
♪恋は今 後ろ姿で 私の前から 消えてゆきます♪
ここは忘れておりました。
それと、歌詞を読んでいたら、意外と状況としては寂しい歌なんですね。
メロディーとアレンジの力で明るい雰囲気になって、当時の淳子さんのイメージらしい歌になりました…ということでしょうか。
そのへんのバランスをとりなさい…と、筒美先生から歌唱指導があって、そこが職人気質として心に残ったりして。
それと、低音をしっかり出すことで、歌詞のイメージとして意志の強さみたいなのが伝わります。

変声期のお話がありますが、昨日今日と淳子さんの歌をもうちょい聴きたくて(こういう、ぽぽんたさんの記事更新があると、ようつべで、ある歌手の歌を何曲も何パターンも集中して見ることができます)。
「はじめての出来事」を全員集合で(つまり、ヒット中に)歌う様子を見ました。徐々に変声期が進んできていたように思いました。
シングルバージョンの歌声をラジオから早い時期に録音して何回も聴いたので、すごくわかりました。
で、それを踏まえて探した「ひとり歩き」のヒット中の歌になると、変声期が終わりかけなのがよくわかりました。で、かわいいだけじゃない大人になろうとする意志の強さ、それはレコードで多重唱にするより、一つの歌声で聴いた方が、しっくりくるんじゃないかと、そんな気がしました。

で、CD発売やイベントを控える淳子さん。
名曲新録と新曲と朗読入りのアルバムは、インディーズなんですね。DVD付きライブ盤とゴッチャになって、ニュース記事だけではよくわかりませんでした。ぽぽんたさんの記事でよくわかりました。

後世の人間には、淳子さんはイメージが悪いんですよね。
90年代に各種団体の騒動が(決め台詞付きで)いくつもニュースになったので、淳子さんもどうしても団体の印象が付きまとう。それと、百恵ちゃんの引退して表に出ない、家庭生活に落ち着く潔さと比較される。
私には、イメージ悪くないです。淳子さんは。
いろいろ知りすぎない方がいいと思います。歌う姿を見るときは、かわいくてまじめそうな淳子さんとして見ることができます。

本当は、歌よりお芝居がしたいんじゃないかな。
by もとまろ (2018-02-12 19:04) 

Massan

ぽぽんたさん、こんばんわ。観ましたよ~、「スプーン一杯の幸せ」!
以前に書いたかもしれませんが、桜田淳子さんのデビューは中学生になったばかりの私にとってはとても衝撃的であり、今から思えば、おそらく初めて異性を意識したアイドルだったと思います。ただ、これも異論反論おありかと思いますが、中学生の私にはぽぽんたさんがおっしゃる「全体にしっとりさせた音作り」に面白味を見出せませんでした。そうしたところでこの「ひとり歩き」が発売されたのです。これまであまり意識していませんでしたが、桜田淳子さんの一連の楽曲の中で新鮮な感じがしたのは、ぽぽんたさんがご指摘になった「リズムを強調し楽器個々の音色をクッキリと出した」からだったのですね。これで得心がいきました(^_^)。
ところでここからはショーモナイ視点を・・。私は「♪涙という字を書いて・・」ちぎって捨てた窓というのは家の窓ではなく、ずっと列車の窓をイメージしています。桜田淳子さんのご出身の小中学校から推測するにご実家は羽越本線新屋駅(秋田駅から西へ2駅約6km)近く。昭和50年頃だとまだ鈍行列車は機関車が牽く旧型客車ですが、通学に利用している高校生は多かったことでしょう。したがってこの楽曲から連想する情景は、女子高校生が学校で想いを寄せる男子生徒に別の彼女ができたことを知り、下校途中のローカル線の列車の中で渡せなかったラブレターをちぎって列車の窓から捨てる・・・なんてね。セーラー服の桜田淳子さんとローカル線の古い客車って妙にマッチするんですよ、私の中では・・。
失礼しましたm(_)m
by Massan (2018-02-12 20:22) 

ぽぽんた

ゆうのすけさん、こんばんは!

きっとファンの方の中には、この2月でデビューして45年なので何か大きなイベントがあるはず、
と期待していた人が大勢おられた事でしょう! それにしてもアルバムの発売までに
もう2週間足らずなんですね(^^;)
私は単純に、桜田淳子さんの声や歌唱力が現役の頃と変わりなければいいな、と、それだけが
楽しみ、と言うか願いです。
なるほど…私はこの曲のジャケ写は淳子さんの、何となく無防備な表情に気を取られて
飲み物自体の事までは考えていませんでした。 ジャケ写だけでも色々な想像ができるのは
楽しいですね(^^)

by ぽぽんた (2018-02-12 23:15) 

ぽぽんた

もとまろさん、こんばんは! 今夜も冷えますね。

明るい曲調なもので油断して、この曲が失恋の曲だとついぞ気がつきませんでした。
となると「三色すみれ」からちょうど1年後、2曲目の失恋ソングと言う事なんですね。
この曲、バックのリズムは強いのにメロディーは淡々と進行するので、その中で
歌詞の世界を表現するのってきっとすごく難しいように思います。
説得力を出すためにも、低い声から高い声までむらなく出す事が必要なのかも知れません。
恐らく、筒美氏は淳子さんにアイドルとして、と言うよりは歌手として作品を提供
したのではないかな。 変な表現ですみません。

桜田淳子さんがトップアイドルだった頃、ほとんど毎日のようにテレビの歌番組で
歌を耳にしていたので、声が変わって来た事は最初はほとんどわかりませんでした。
しかし私の場合は確か「十七の夏」あたりだと思うのですが、スタ誕のゲストで
歌った時に何だかこもったような声だな、と思ったんですね。
それまではわりと声を張り上げるタイプだったのが、大人しい感じになった…と
思ったんです。 今思うと、それが声変わりのためだったんですね。

今はインディーズでもマーケット的にメジャー会社と差がなくなってきているようですが、
ファンとしてはやはり、古巣のビクターから出してもらうのが一番違和感ないな、
とほんの少し残念な気持ちです。
かなり前に、天地真理さんがインディーズでかつてのヒット曲を歌い直したCDを出して、
それがあまりにひどかったので、個人的にどうもインディーズから…と聞くと
イメージが良くなくて(^^;) でも実際に聴かなければわかりませんよね。

私は桜田淳子さんは、絶対に女優向きだと思っていました。 アイドル時代はとにかく
明るかったのが、例えば「澪つくし」(NHKの朝ドラです)に出演した時の暗く深い演技は
もの凄い迫力で、淳子さんのイメージが一変したほどでした。
もし今回のイベント出演などが女優への復帰のステップになるといいな、と期待しています。


by ぽぽんた (2018-02-12 23:36) 

ぽぽんた

Massanさん、こんばんは!

「スプーン一杯の幸せ」を書いた落合恵子さんはそれより少し前に文化放送のDJとして大人気で、
レモンちゃんなるニックネームでアイドル的な存在でした。
数十年経って、あのように山姥のような容姿になるとは想像もしていませんでした(^^;)
それはともかく、「スプーン…」はそんな人気者が書いた作品として有名で、
その映画化、そしてその主演が桜田淳子さんと言うのは当時、結構驚きだった気がします。
今で言う「大抜擢」に近かったのではないでしょうか。

レコードの音作りは、これもある意味その歌手とレコード会社のイメージ作りでもあるので、
聴く人によって好き嫌いが出てくるのも当然ですよね。
当時、ビクター歌謡と言えばまずリバーブ(エコー)が強く高音域がきらびやかと言う、
わりとどのようなタイプの歌手にも適用できそうな音作りが主流だったので、
それを全く変える事はかなりの冒険だったように思います。
そこはやはり筒美氏の意見が大いに反映されたのだろうと推測しています。

なるほど、列車ですか。 そういう解釈もできるのか! それ、凄く新鮮です。
私はもう、想像力が弱いのか、単純に自分の部屋の机で、そしてその前にある窓から、
と、のび太の部屋のような場所を想像していました。
セーラー服の淳子さんとローカル線の古い客車…いいですね! 想像すると本当に、
絵になる光景ですね(^^)
想像の世界を広げて下さって、ありがとうございます!

by ぽぽんた (2018-02-12 23:49) 

卓

こんばんは!

今回は、このカラオケを録音した当時の事を書かせて頂きますね。

私もサウンド・イン・ナウで放送されたこのカラオケを録音しました。ラジカセで録音したのでもちろんモノラル、また録音レベルが自動に設定されたラジカセだったので、音量が大きいとリミッターがかかるのですが、この曲の頭のドラムの部分はリミッターがすぐに効かず音が割れて録音されています。《テープがもったいないので、カラオケだけ録音していたのと、歌入りにあまり興味が無かったので(淳子ちゃん、ごめんなさい!)》
それでも、この曲のカラオケはなぜかお気に入りの曲になり、歌入りよりヘビーローテーションで聴いていた記憶が残っています。
こうした録音の失敗があったので、しばらくして、カラオケコーナーを最初から録音するようになりました。

曲で一つ気になったところは、曲の終わりをドラムで終えるとこでしょうか?生バンドの演奏の場合、こうした終わり方が多かったように思いますが、レコードでこのような終わり方はあまり聴いた記憶が無かったので。

音楽を聴くハードは今と比べることもできないくらいに貧相なものでしたが、それでも心の満足度は高かったように思います。

ちなみに、録音で使ったラジカセは、ナショナルの「Mac-FF」というモデルでトランスミッターが付いていました。確か「34,800円」だったと思いますが、叔母が購入してくれたもので、15年以上は現役だったような・・・。

とても懐かしい思い出です。

by (2018-02-13 19:26) 

もっふん

もとまろさんが書かれた事よりもっとレベルが低いのですが、私の場合もぽぽんたさんが新しい曲を記事で取り上げて下さるたびに、「今の感覚で」聴き直すとても良いきっかけになっています。

その楽曲が音楽的にどんな事をやっているのか、本当に注意して聴く事が出来るようになったのは'70年代も終わるころから'80以降ですので、このブログで記事になるような曲は「音楽ワカランチン」時代にミーハーな気分で聴き流していた曲が大部分でして、その都度新しい発見があってとても楽しいです。

ぽぽんたさんが「チープ」と表現したシンセの音は、'74に発売されたばかりの Roland SH-3 ではないかなあ。まだ日本のミュージックシーンにミニモーグ('77 の「UFO」制作時点でも一般的ではなかったと言うエピソードが以前に紹介されていますね)なんかが入って来る前の黎明期に当時まだアマチュアだった喜多郎や小室哲哉も触れたと言う「ユーザーが自由に音作りを出来る」と言う意味では初めての伝説的シンセサイザーなんですが。

「はじめての出来事」の方が出来が良いとしたら、たぶんそちらは '73発売の SH-1000 で、音作りの自由度が狭いプリセットタイプのシンセですが、メーカーのプリセットだけあって音色にもそれなりのクオリティがあったのかも知れませんね。

※ちなみに「Y.M.O.」の結成が '78ですから当時としては相当チャレンジャブルな試みであった事が伺えます。

で、楽曲を聴いてみると、桜田淳子ファンの方には申し訳ない事に、私の関心はドラムのフレーズ、特にアイドル歌謡では他に類を見ないと思われる大音量でミックスされているキックの暴れ方にすっかり奪われてしまいました。

リズムを食ってようが食っていまいが一拍目のオモテを殆ど踏まずにウラを力一杯蹴って来るこのスタイルは他で耳にした覚えがありません。食っている時はそれ以上のパワーで直前の4拍目ウラを踏むのがお約束ですが、それもどこ吹く風。音量バランス的にもロック系楽曲のキモである2拍4拍のスネアを完全に脇役に追いやってしまっています。

筒美先生がこのパターンをどこから仕入れて来たのか、思い当たる節のあるかたには是非ともご教示頂きたいです。

しかも一方ではオケ全体のリズムのキメに参加しないと言う天邪鬼ぶりで、私の理解力を完全に越えています。

ちょっとこの衝撃が大きかったので他の部分にまるで注意が向かない状況だったりしますので、もう少し聴き慣れてから気付いた事をちりぽりと書き足して行くかも知れませんが、今はもうお腹一杯と言う事でご容赦を。
_
by もっふん (2018-02-13 23:30) 

ぽぽんた

卓さん、こんばんは!

昔のカセットレコーダーは、録音レベル設定が自動のものが多かったですね。
そういったものは大抵、急に大きな音が入って来ると慌てたように音がうんと小さくなって、
また大きくなってきて…と不安定に変わる事が多くて、「これは音楽の録音には合わないな」
と思った事がよくありました。
私が持っていた(いや、買ってもらった)ラジオカセットは、内蔵マイクや外部入力からの
音はやはり自動レベル設定で、ラジオからの録音だけはボリューム、それも再生用の
ボリュームで手動調整すると言う変則的な作りだったので、ラジオからの録音の時は
不自然な音にならずに済んでいました。

仰るようにアウトロがドラムスの一発で終わるのは、生バンドなどでよく使われる手法
でした。 歌謡曲で私が知っているのは「天使になれない」(和田アキ子)、
「ときめき」(麻丘めぐみ)、「ちぎれた愛」(西城秀樹)、「霧のめぐり逢い」(岩崎宏美)
あたりでしょうか。

私がラジオカセットを買ってもらったのは子供の頃でしたが、その頃に気づいた最も
大きな事は、同じ曲でもラジオカセットで聴くのと、セパレートステレオのような
大きな装置で聴くのとは、音が違うと言うよりも曲に対する印象が違う、と言う事でした。
ラジオカセットの方が歌声がハッキリ聞こえていいな、と思っていたものです。
今思うと、子供の頃は音質がどうのとか、広がりがどうのとかはあまり考えなくて、
歌手の声が身近に聞こえたら満足、だったように思います。

by ぽぽんた (2018-02-16 00:23) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは! お返事がスーパー遅れになってしまい、大変申し訳ありません。

私の場合はそうですねぇ、中学から高校生にかけては洋楽を聴く事が多くて、
その時には歌謡曲ではあり得ないコード進行やリズム、そして歌メロなどが面白くて、
またハモリのある曲では絶対に一緒に主旋律を歌わないとか、感覚だけで音楽を一応
勉強はしていたのかな、なんて思います。
70年代は私好みのソフトな楽曲のヒットも多かったですから…。

当時のシンセは、大衆向けだとごくシンプルな作り、プロ用だといきなりモジュールてんこ盛り
なんて時代でしたね(^^)
「ひとり歩き」のシンセの音はVCO、VCF、VCA、EGが一個ずつで十分できるのでほぼどんな
シンセでも作れると思いますが、「はじめての出来事」ってよく聴くとVCOが2基使われていて、
2オクターブのユニゾンなんですね。 なのでSH-1000だと難しいかも知れません。

ミニモーグはいまだに憧れている楽器の一つです。
今ソフトシンセでもミニモーグをモデリングしたものがいくつか出ているのですが、
試してみるとゾクゾクするほど分厚い音が出て来たりして、よく出来ているなぁ、と感心します。
ミニモーグはVCOが3つ(うち一つはLFO兼用ですね)入っているので、3つすべてをちょっと
Detuneして重ねると厚い音になるんですね。 一度実機で試したいです(^^)

「ひとり歩き」でのキックについては私もちょっと書きましたが、意識して聴くと結構
激しいですね。
ポップスや歌謡曲ではキックはあまり目立たないようにミックスするのが普通のようなので、
この曲は例外と言えるかも知れません。
ドラムスについては私は全くの勉強不足なので、機会があったらぜひ色々教えて下さい。
自分で作る時は「drummer」に頼り切りです(^^;)

by ぽぽんた (2018-02-25 00:44) 

もっふん

「はじめての出来事」でVCOが2基使われてると言うのは、いま改めて聴き直してもちょっと分からないと言うトホホな耳です_| ̄|〇

当時は矩形波こそが「シンセっぽい音」と思われていたフシもあって、「それにしては何だか高調波が多いけど、たぶんレゾナンスを少し上げてるんだろう」程度に思っておりました。

ボーカルの立場から言うと、ミニモーグを濫用されると完全に主役を「食われる」ので、「ココ!」と言うところだけに絞って使って欲しいシンセの一つです。

ミニモーグは 3VCO に加えてオリジナルのオーバードライブ回路を内蔵していたので、あの歪みで生まれる高調波はちょっと他のシンセでは真似出来なかったですね。

昨年、復刻生産が始まったらしいので、ぽぽんたさんも一台イカガ?(ばき

「歌モノ」を演るのであれば、純粋に生楽器のサンプリングやモデリング音源を使って貰うか、逆に FM 音源でエゲツ無い音を出して貰う方が、「バンドとしては」全体が丸く収まるように感じています。

「FM 音源が好きだ」とか言うと「イマドキ何をw」、と思われるかも知れませんけど(苦笑
_
by もっふん (2018-03-15 06:52) 

青大将

以前からずっとコメント入れたかった記事の一つが此処でした。
あ、こんにちは。最終クイズのあとすぐ此処に来たので挨拶忘れてた。^^;

毎回コメント入れてた全盛期の頃、いつも取り上げて貰いたかった曲でした。
桜田淳子のシングル曲の中でいちばん好きなのが今も昔もこの曲です。
同時にB面でいちばん好きなのもこのレコードで、更にA面とB面との組み合わせでベストなのもこのレコードなんです。「涙のいいわけ」という曲は、A面に持って来ても良いぐらいの名曲だと思いますね。
この時期は、平凡誌上で行われた「桜田淳子とデュエットしよう」という企画で勝ち抜きデビューした山本明(ちょっとDAIGOに似てる)との「春の恋人たち」といい、隠れた名曲を挟んだシングル・リリースが目白押しでした。「春の恋人たち」も山本明デビュー曲「君を奪いたい」のB面にひっそりと埋もれ続けて(しかもジャケットには桜田淳子とのデュエット曲である表記すら無い)居たのが、淳子の記念BOXや復刻紙ジャケCDなどでようやく表に出て来た感じです。この昭和50年の桜田淳子は、何か今でも特別感が在り、すべてに於いて最も輝いて居た印象があります。

3月5日発売という事は、「ひとり歩き/涙のいいわけ」のレコーディングは年明け早々か年末だったのかな?
「白い風よ」のレコーディングが2月だったらしいから、そんな感じですかね。
このオリジナル音源がハツラツとした歌い方だったのに対し、YouTubeの当時モノの動画を観ると、何か抑えめでイマイチ迫力(又は覇気)に欠ける印象です。記事でぽぽんたさんの仰る様に、変声期が原因であるのとは別に大人への背伸びも要因である様な気もしてます。
常に新しい事への挑戦を意識してたらしいので、歌い方も変えて違う印象を見せたい心情があったのかも知れません。


楽曲的には前曲大ヒット「はじめての出来事」よりも好きな人、多い様な気もします。
何せ筒美京平ですからね、麻丘めぐみ「ときめき」や中山美穂「派手!!!」なんかと並んで疾走感溢れる青春アイドル歌謡の決定打みたいな感じですよね。

個人的にも桜田淳子の楽曲でいちばん青春を感じるナンバーです。
イントロからエンディングまで隙きを感じないのは上2曲とも通じます。

それと、これも飽くまで個人的見解ですが、A面とB面のタイトルを入れ替えてもこの2曲はしっくり来ると思うんです。「涙のいいわけ」にも、2番目冒頭に♪ひとり歩きができる 強いわたしに生まれかわるの♪とありますし、「ひとり歩き」も♪涙という字を書いて ちぎって窓から捨てます もうしばらく君と逢いたくないのです♪と、何処かウジウジした印象が涙の言い訳と受け取れますし。

ジャケット写真は、俺も好きですよ。 何か色褪せした様な仕様ですが、顔の角度と目線を落とす位置、地味な服。そして何と言っても目を惹くのがこのアイスドリンクですよね。ゆうのすけさんが書かれてる様に、俺もずっと気になる飲み物です。氷の溶け具合から、出て来て直ぐ感はありませんね。やや溶けた氷で薄まったミルクとシロップたっぷりのアイスコーヒーだと思い込んでましたが、ゆうのすけさんのコメント見て、あ、ひょっとしたらアイスティーかも。と、思い直しました。それと、このシングルだけですね、B面と表記されてるのは。
大体が片面か、若しくはどちらの表記もなく、ただタイトルが書かれてるだけか、●や■が上に乗った下にタイトルが表記されてるパターンの範囲内ですから。

この写真はジャケット歌詞面に表紙写真提供・月刊平凡と在りますから、この時期の月刊平凡の記事でこの写真や別ショットが掲載されてて、そこに場所や店内などが詳細に写されてたかも知れませんね。この号が見てみたいです。

ジャケット写真では、次の(「白い風よ」は飛ばして)「十七の夏」が、どういう場所で撮られた写真なのか、凄く興味があります。(前に書いたかな?)窓の後方に薄っすら、よく公園や庭園などの池とかに掛かる小型の極端に丸いアーチ型の橋の様な物が写ってますし、淳子が佇む場所も、何かそういった施設の中に在る年季の入った建造物といった感じがします。(壁にヒビが入ってますし)しかし、それから46年経過して、現在は先ず現存してないでしょうね。とっくの昔に取り壊されてる事でしょう。

そういえば、sjghdさんのブログで淳子シングル曲の人気投票をした際にも、「ひとり歩き」が1位でした。
しかし、最終回の後に、そしてコメントずっとサボってた自分が言うのも何なのですが、^^;岩崎宏美の初期楽曲で唯一「ドリーム」やらんかったね、いつかやるかな、と思ってたので。

では、近日その岩崎宏美「飛行船」でお逢いしませう。3年前、初めて岩崎宏美のコンサートに行って来た時の事も書きたいし。(^^)
by 青大将 (2021-10-04 16:28) 

ぽぽんた

青大将さん、こんにちは! お返事が遅くなり、申し訳ありません。

おー! 青大将さん節、復活~!って感じですごく嬉しいです!
私は個人的にはですね、この曲をレコードで初めてきちんと聴いたのは、当時価格改定で
700円から800円に値上がりして少なからずがっかりしながらも買った4曲入りコンパクト盤
で、でした。
そのレコードにはシングルA面の3曲「十七の夏」「ひとり歩き」「白い風よ」と、
映画「スプーン一杯の幸せ」の挿入歌(でしたっけ?)「若い人」が入っていました。
余談ですが、桜田淳子さんは後に映画「若い人」に出演し、その主題歌(でしたっけ?)が
「若い人のテーマ」、それも先の「若い人」とは別の曲…と、何だかややこしいんですよね。
アルバム「わたしの素顔」に「天使の唇」なる曲が入っていると思ったら、そのすぐ後に
シングル「天使のくちびる」が発売され、それらも別の曲…よくわからないなぁ(^^;)

…とちょっと脱線しましたが、そんなレコードを買ったために私の中では
「ひとり歩き」のカプリングが「若い人」になっていたりします。
6分以上ある長い曲なのでシングルB面には適さないとも思うのですが、恐らく変声前の
最後の輝きを放った1曲ではないか、と言う気がしていまして…。

もしかして山本明さんって、あの狩人の弟、加藤高道さんも応募していたオーディションで
優勝したその人、と言う事でしょうか? 随分昔に、月刊平凡だったのでしょうが、
坊主頭だった高道さんと淳子さんが並んで写った写真を見た事があります。
多分そのオーディションでの写真だったのでしょうね。
しかしそのレコードに、デュエットの相手とは言え歌手名のクレジットがないとは、
ちょっと考えられないですよね。

はい、自分も「はじめての出来事」よりも「ひとり歩き」の方が好きな一人です。
当時はボーカルが最初から最後までずっとダブルなのが印象的だった事、
歌謡曲なのにどこか洋楽的で、スピード感もある事、などが組み合わさって、
もろ歌謡曲の「はじめての出来事」よりも惹かれたものでした。

レコードとテレビとで歌唱のテンションが違う事って、よくありましたよね。
1975年は桜田淳子さんにとってはかなり試練の年だったそうで、体調もよくなかった
と何かで読んだ気がします。

それにしても、いつもながら青大将さん、よく聴き込んでおられますね!
何度も聴く事は簡単ですが、青大将さんのご感想を読んでいると回数だけでなく、
様々な角度から聴いておられる事がよくわかります。
「ひとり歩き」のヒットは私が中2になった頃で、今振り返っても最も楽しかった
時代なので、余計にこういった楽曲には思い入れがあります。

桜田淳子さんのジャケット写真でカメラ目線でないものって珍しいですね。
「ベスト・コレクション'75」もそうでしたが、難しいのはそういう写真って
手法が古く感じられる場合があるんですよね。
「ひとり歩き」はそんな感じは無くて、スナップに近い感じで自然なのがいいですね。

あー「ドリーム」、ですか(^^;)
あの曲はですね、掴みどころが難しくて…曲自体は大好きなのですが、
1コーラスあたりの構成がAとBしかなくて、しかしベースラインを含めたコード進行が
メチャクチャ高度で、シングル向きでない曲のような気もして、etc...
でもいつか、改めて研究して書いてみようかな、とも思います(^^)

では「飛行船」、お待ちしてます(^^)

by ぽぽんた (2021-10-17 14:06) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。