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Ms. /  南沙織 (Light版)

改めまして、お久しぶりです。
なかなかまとまった時間が作れずに記事を書かないまま年末年始を過ぎてしまいました。
今年こそ!とはもう言いませんが(^^;)、できるかぎり話題を提供できればと思いますので、
今年もよろしくお願いいたします。

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久しぶりなので軽く、サラッといきますね。

突然ですが、南沙織さんのシングルで最もお好きな曲って何ですか?
私はもろリアルタイム世代の一人なので、当時は新曲が出るのが毎回楽しみでした。
なのでほぼ全部好きと言っても良いのですが、
中でも最も好きなのは「潮風のメロディ」(「メロディー」じゃないところもいい!)。

で、次に好きなのが実は、現役中の最後のシングル「Ms.」なんです。
「Ms.」って、ミセスでもミスでもない、なんて意味でしたっけ。

この曲はデビュー曲「17才」から12曲目の「夜霧の街」と同じく、
有馬三恵子作詞、筒美京平作・編曲で、まさに最後のシングルにふさわしい顔ぶれで
制作された楽曲です。

MS.jpg

残念ながらヒットしたとは言えず、オリコンシングルチャートでは最高位が80位、
登場週数が2週で売上げが0.5万枚と南沙織さんのシングルでは最低の成績に終わりました。
同じCBSソニーのキャンディーズや山口百恵さんは引退時にはあんなに盛り上がったのに、
南沙織さんは何とも寂しい引退となってしまいました。


しかし。
有馬三恵子・筒美京平コンビで作られた楽曲が出来が悪いはずがない。
私はこの「Ms.」には、そのお二方の本来の持ち味が出ているように思えて仕方ないんです。
ヒットしなかったのは、多分時代のせい。

当事者なのにどこか達観したような歌詞作りが有馬三恵子さんの作風とするのなら、
この曲での筒美京平さんのメロディーとアレンジはお得意の「海外のヒット曲のいいとこ取り」
とは違う、筒美さん自身の内側から自然に出てきたようなものなのでは…と、私は思っています。


筒美京平さんに関する書籍は今でこそこれでもか!と言うほど色々とありますが、
学生時代から筒美ファンだった私が「この雑誌で!?」とびっくりして発売後にすぐに買ったのが、
「サウンド&レコーディングマガジン」1988年(昭和63年)3月号です。

sanreko表紙.jpg

その号では筒美京平さんと近田春夫さんの対談が記事になっているのですが、
対談の終盤で近田さんが筒美さんに「京平さんの本質のメロディーってどんなのだろう?」と問うと、
筒美さんは「あんまり個性的じゃないのかもね。 スタンダード的になるっていうか。」
などと答えています。

sanreko.jpg

「Ms.」のメロディーやアレンジに元ネタがあるのか否かは正直、私にはわかりませんが、
そういうものに頼らないで作った曲があるとすれば、「Ms.」はその一つなのだろうと思うんですね。
悪く言えば、筒美さんらしいキャッチーさは、「Ms.」にはほとんど感じられない。
しかし、昔の映画音楽のような普遍的な、地味だけど心に残るものを大切にして作られたような。
そういう意味では、デビュー曲「17才」とは真逆の作り方と言っていいかも、ですね。

この曲を歌うシンシアの映像は「夜ヒット」などいくつかありますが、
どれもとてもさわやかです。
かなりの歌謡曲ファンでも「Ms.」はご存知ない方が多いと思いますので、
この記事を読んで下さったらぜひ一度、味わって聴いてみて下さい。


「Ms.」
作詞 : 有馬三恵子
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レーベル : CBSソニー
レコード番号 : 06SH381
初発売 : 1978年(昭和53年)8月21日

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